前回と同様、立憲民主党の綱領と国民との約束、国民民主党の綱領と基本政策を使って、新たな比較を行ってみたい。

以下は、各党に特有の言葉、両党に出て来る言葉をまとめた表である。

立憲民主では、党の根幹となる立憲主義のほか、原発ゼロや再生、復興、多様性などの具体的な施策につながるような言葉やアクションを示す動詞が特徴として抽出されている。

一方、国民民主では、国民、地方、政策、解決など、具体的な施策が想像できない形容詞が特徴として抽出されている。

これを踏まえて、品詞別に各党の単語の使用割合をグラフ化して、両党の比較を行ってみた。

青が立憲民主、オレンジが国民民主を指している。

*形容詞に見られる比較

立憲民主ではほとんど形容詞が使われていないが（抽出では３語のみ）、国民民主では１３語が抽出された。

国民民主では、大きい、新しい、賢い、きめ細かいなどの言葉が多用されている。

＊動詞、名詞について

立憲民主では、社会、実現、原発、再生、ゼロ、政治といった具体性のある言葉やアクションを示す名詞が見られるが、国民民主で特徴的とされる言葉は時代、解決、推進、日本、国民といったもので、こちらも具体性に欠ける印象がある。

また、動詞は視覚的に立憲民主の方が多い印象となり、守る、進める、認める、立て直す、闘うなど。国民民主は「～していく」といった努力目標を示しているが、立憲民主のように党としての具体的アクションを示す言葉が見受けられない。

このような比較を試みた理由の一つに、国民側からの視点として分かりやすさを重点的に考えて見たかった事がある。立憲民主の綱領はコンパクトにまとめられているせいかある意味分かりやすい。国民民主の綱領（党の基本情報）の内容は総花的で、焦点が絞り切れずわかりにくい印象を持つ。「未来を先取りする改革政党」を強調するあまり、カタカナ言葉の多用が目立つ。「イノベーションに必要な人材」あるいは「スマート・シュリンク戦略」「日本をアップデートする」などというカタカナにはついて行けない。「最新テクノロジーを活用した配分の仕組みを取り入れ、過重な行政コストのかからない効率的な政府を実現していく」に至っては、何を言っているのか分からない。夢を語るのは良いとしても、現実的な取り組みについて何も語られていない事は現在の政権のコロナ対応と同じ印象を持つ。

本来、綱領は具体的かつ国民に届く言葉で語られなければ、せっかくの綱領の役目を果たせない。カタカナ多用はまだいいとして、文章自体のロジックが意味不明。基本理念の中で、「穏健保守からリベラルまでを包括する国民が主役の改革中道政党を作ります」という文章。分かりにくさの最たるもので、国民の一人が、自らを指して「自分は穏健保守」あるいは「リベラル」だと自称する人間が現実にいるとは思えない。政治家側から国民を分別することで政治がやり易くなると考えているのなら別であるが。また、私たちは①「生活者」②「納税者」③「消費者」④「働く者」の立場に立ちます、、、という文章も不可思議な文章である。国民の立場に立つことをあえて強調するのは、国民の為にならない国会議員が多いことを憂えているのだろうか？

今、両党の幹事長、政調会長４者でこの綱領、政策のすり合わせをしていると聞く。ただ、残念なのは、合流についての評価が真っ二つに分かれていることである。２党を指して同床異夢だといい、また、もともとは民主党なので政策の方向性はさほど違わない、、、などと真逆の評価が行われている。このような評価はいずれ現実が変えてくれると信じている。

新綱領を通じて、成長した野党として生まれ変わることを期待する。

党の綱領って何なのだろう？ その２

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