「サメでも救えぬ物が有る。」


 観て、参りました!



 『エクソシスト・シャーク』です!

 観て、参りました!
 観て、参りました!
 観て!
 参りました!

 世の中には、サメ映画を喜んで観たがる人とそうでも無い人、二種類存在します。
 後者の方が、多数派かもしれません。
 後者の方が、真っ当な人達かもしれません。

 そして、ただ!
 世の中には!
 少数派かもしれない所の、サメ映画を観たがる人達でさえ!
 受け止めかねる作品も、存在するのです!

 『エクソシスト・シャーク』。
 或る意味、有名な作品です。
 池袋で上映イベント開催され、観て参りました!
 開催!素晴らしいです!
 掛け値無し、素晴らしいです!
 日本での映画館上映、初。我々、歴史の証人かもしれず。
 掛け値無し、心底素晴らしいです!
 楽しかったです!

 その上で。

 映画そのものは。

 喜びをもってして、さえ!
 人生の貴重な時間を無駄にしたんじゃないかという虚無に、襲われる程です。

 サメ映画の水準に於てさえ余りに酷過ぎる、どうしようもない評判。正にそれだからこそ、上映され。正にそれだからこそ、嬉々として観に行った訳です。
 なのですが!
 なのですが!
 諸々、ひっくるめまして!
 ひっくるめまして!
 それでも尚、余りに酷かったです!此の、作品!

 映画学校の卒業製作レベルの作品、みたいな言い方有りますが。
 本作提出されてたら、卒業取り消しに成るかもしれず?

 タイトルから想像・期待されそうな、悪魔が取り憑いたサメが出て来てヒャッハー、エクソシストと対決ヒャッハー、といった作品に成っているとも言い難く。

 かの『プラン9・フロム・アウタースペース』はそれでも、何はともあれ一応、作品。
 それはそれで、だからこそ厄介とも言えますが。

 はっきり言いまして!正直!
 作品に成っているとも、言い難いです!
 どういった物語なのか、どういった話が語られているのか判らない、水準。
 全体だけで無く個々の場面、例えばその人が、サメに食われたのかどうかも判然としなかったり!

 粗筋、語ろうにも。繰り返しますが、どういった物語だったのか?

 時々ギャグ入れ込んで来るのも又、厄介です。

 面白かったか、つまらなかったか?
 余りに、何が語られたのかも判らない為に。つまらなかったのかどうかさえ、判然とせず。
 つまらないという所まで辿り着いてもいない、作品!

 上映後に、主催のサメ映画評論家の方達によるトークショー、有りまして。
 DVDに付いてる解説なんかも踏まえつつ、どういった物語だったか、というか製作陣、どういった物語にしているつもりだったらしいかの話が。
 それによると自分の理解も、三分の二位は正しかったみたいですが。

 冒頭、十二人の子供を虐待して殺したというリンダ・ブレアなる修道女が、殺人及び儀式みたいな物で湖に、悪魔の鮫らしき存在を召喚だか何だかしたっぽく。
 曖昧過ぎ、何が言いたいか判り辛いかと思いますが。
 湖に潜んでいるのかも良く判らない、悪魔の鮫とおぼしき存在を軸に物語、進んでいくとも言い難く。
 何か物語進んでいくとも、言い難く。

 出演者達の、演技。
 一応、上手い人も居ますが。
 素人とまでは、言いません。エキストラのバイトを二年程やっている人の演技、位?

 サメ映画を撮る事より、名作『エクソシスト』に寄せていく事に意識、向けていた様な感じも有りつつ。
 悪魔であるとか罪であるとか狂気であるとかみたいな題材を扱っている、みたいな?
 とにかくエクソシストみたいな世界観、イメージ、作り出そうとしているみたいな?
 細切れの、物語らしき物、続いていきます。
 整合性おかしい、と言いたい所ですが。
 最低線通じるだけの話が有って初めて、整合性を云々出来る訳で。
 整合性おかしいという所に辿り着いても、いません。

 音楽、悪魔的と言いますか雰囲気、そこそこ悪く無く。

 映像も、雰囲気自体は悪く無い部分も。
 移動遊園地の場面なんかはそれなり、世界観に成っている感じは有りました。
 一ヶ所、金魚の水槽通して女性の顔映した所は、センスが!
 冒頭、クラゲの映像妙に、魅惑有りました。

 お姉さん達の水着姿、割と出て参ります。特に嬉しく成ったりは、しません。

 期待値最低に置いて来たにも関わらず、それを更に振り切って来る、どん底。

 全てに付きまとう、不安定な揺らぎみたいな物。シリアルキラーの人には世界が、違った風に見えてしまうといった事が有るのだとしたら。
 その、シリアルキラーが見ている世界が表現されているのだといった風に感じられない事もない、何か。

 強烈な何かを観せられた感覚は、有ります。価値が有った気も、します。
 映画としての価値であるとは、言い難いです!
 史上最低級の、極北!
 或いは端的に、まともな作品ではありません!

 リハビリが必要と、いいますか。
 観てしまった事で、映画観賞に関する自分の中の何か、損傷してしまったんじゃないかという不安に、捕らわれております!

 観れて、良かったです!良かったです!
 同時に、観れて良かったという言葉を発するの、躊躇われます!
 躊躇われます!激しく!