歴史学者の“失踪”
家は電気がついたまま
最後のおせち
「兄は亡くなったんでしょうか」
無縁仏
なぜ何の連絡もなかったのか
“真相”
“ルールなき”葬送
「多死社会」の現実
3年以上、放置されていた
増えていく冷蔵庫
執行前、執行前、納骨済
「近代日本の前提」が崩れるとき
“「無意味な人生」はない”
取材後記

 

「近代日本の前提」が崩れるとき
専門家は、社会のあり方自体が今、大きな転換点を迎えていると指摘する。

葬送の成り立ちに詳しい、国立歴史民俗博物館の山田慎也教授は、次のように話す。


山田慎也教授
「そもそも近代日本の法制度では、祖先祭祀をベースとして死者は家族や遺族が引き取るべきであり、行政が対処するというのはあくまで“例外的”であるというのが前提でした。しかし、現代ではその“例外“が多数を占めつつあります」


76年前(1948年)、戦後まもない時期に成立した「墓地埋葬法」。

山田教授によれば、当時は引き取り手のない遺体の存在は珍しく、法律は「公衆衛生」の観点から作られたもので、死者の尊厳など、福祉的な発想は薄かったという。

そのうえで、単身化が進む現在では、家族による葬送をベースにした制度のままでは立ちゆかなくなるとして、個人を中心にしたシステムへの移行が重要だと指摘する。


山田慎也教授
「やっぱり単身であっても亡くなった人をきちんと送る仕組みとして、指針やルールの整備は国が率先して対応していかないといけないと思います。と同時に、どこまで戸籍調査をやるかなどについては、社会全体で議論していく必要があると思います

 

 

 

社会システムが変わっていかないとならないことばかり