小説ブログ『破天荒ファミリー』 -10ページ目

小説ブログ『破天荒ファミリー』

この物語はある家族の思い出をデフォルメして創造した【破天荒な作り話】です!いやいや実話を誇張したフィクションですって!


 

 

 カタギとヤクザ

 

「こんな映画みたいな、面白い誘いをして貰っといてせっかくだけども。やめとくわ」

加藤も後ろの男達も、少し眉毛の力が緩み、残念そうな面持ちだ。


「そっちの世界には実は、子供の頃から憧れはある。だけど今の俺は今の自分の仕事に満足しているし、何よりこれからが挑戦なんだわ。カタギでいくわ。」


「そうですか。分かりました。残念ですが、今回しっかり浅井兄貴に気持ち伝えられたし、御礼も直接言えたので良かったです!ありがとうございます。」


「おう。もうこれで俺の前には顔を出さんでな。俺はカタギだで、職場に来られても困るで。」


「承知しました。ご迷惑をおかけしてすみません。」


そうして店を後にした。

本当ならヤクザに連れられ、喫茶店に行くなんて怖くてしかたないだろう。だが昔から肝は座っていた。


私立の中学に行っている時から、態度は大きく目立っていたから、先輩に体育館裏によく呼ばれていた。高校に進んでも喧嘩は絶えなかった。


呼び出されても暴れたらなんとかなる精神がどこかにはあった。そして都合が悪くなれば警察を呼ぶ。ヤクザな性分だが、カタギの強みは大いに活かす。


カタギのヤクザであり、ヤクザなカタギだった。

それが一番自分らしい立場だと重々分かっていた。


それからしばらくは、また普通の日常が続いてた。次にあの男が現れるまでは。



《追記》

後々、この時違う返事をしていたらどうだったか?なんて話を子供達とする事があった。

多分違う答えを出していたら、結婚も違う人としていただろうし、今の子供達とも巡り会えなかっただろう。ましてや長く生きてもいなかっただろう。この時の分岐点の判断は間違っていなかったと思う。


今のままで良かった