映画「TOVE」
いわずとしれた、ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンの物語である。
もちろん、どうやってムーミンが生まれたか、なんて話ではなく、トーベの人として、女性としてという面に光を当てている。
フィンランドといえば、ヘヴィメタルとWRCというのは、とても個人的なイメージ。
森と湖の中をラリーカーが疾走するイメージだ。
なので、きっとトーベ・ヤンソンは森の中の山小屋のような家に住んで、いつも空想しながら、森にいる妖精を主人公に絵本を書いたのだと思っていた。
ところが、映画で描かれるトーベは、芸術一家の家に生まれて、生まれながらにして芸術界にいる人で、本業は油絵らしい。
彼女の油絵が有名になったり、サザビーズで高値で落札されたなんて話は聞いたことがないから、それほどでもなかったのかもしれない。
ムーミンは、むしろ彼女の落書きのようなものだったようだ。
おそらくは、それだけに、ほんとうに内から出てくるイメージそのものだったことがヒットにつながったのだろう。
そして、映画が最も強く焦点を当てるところは、彼女が女性を愛するということである。
それを女性監督が描くという、言い方はよくないかもしれないが、イマドキの流行りな感じであった。
にしても、これをハリウッドできれいな形で表現するのではなく、ちゃんとフィンランドで フィンランド人が作っていることに意味はあると思う。
そういうリアリティは重要だ。
愛に燃える芸術家を描くというと安っぽいが、ま、そういう映画である。