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やったらできた。~スーパーカブで日本一周~

走行距離14,000km、約5ヶ月の旅の記録。

[ 2007年6月7日③ ]

西蔵王公園キャンプ場で出会ったカブ主は、
和歌山県から日本一周の旅に出た21才の学生でした。
なんでも一年間休学して旅を始め、あとは北海道へ渡るのみ。
んで、帰宅後はフィジーに語学留学するらしい。
どんだけアクティブなんだよ(笑。



(いろいろ話したっけな。)

カブで日本一周をする者どうし。
旅のお役立ち情報から辛かったことまで、
共通の話題は豊富にあります。
炊事場で晩ゴハンを作りながらしゃべり、
食べながらしゃべり、食べ終えてもしゃべり(笑。
ノンアルコールだったけど、
長いこと語り合った夜となりました。

まず始めにテーマとなったのは、
理想と現実のギャップについて。

原付で日本一周をするなんて人は
頭のネジが一、二本外れていて、
小さなことは気にせずに
どこでも野宿できるような豪快なイメージを持っていた。
出発する前は、それが日本一周人の理想像でした。
なんたって、
あんまり細かいことを気にしない方がカッコいいじゃない?(笑

ところがいざ旅を始めてみたら、
理想どおりには全然いかない。
夕方になると寝場所を探して焦り出し、
雨の日の運転では辛さのあまり自問自答を始める。
薄汚れた身なりで街中を走ると、
人目を気にして無性に恥ずかしくなる。

ぜんぜん豪快じゃねぇッスよ…。
イメージと真逆で、
モチベーションは下がる一方だ(汗。

そんな状態で、旅を楽しめるワケがねーんです。
うつうつと落ち込んで、
ふと「なにしてるんだろう…。」と考えてしまう。
そもそもが、自らの意志で始めた旅なのにね(苦笑。

この矛盾を相談できる相手が、
出発してから今日までいなかった。
さすがに2ヶ月が経ったから、
考え込む頻度は減ったけど。
それでも、漠然としたネガティブな感情を
常に抱いていたんです。

だから、えらいホッとしちゃいました。
彼から「しょっちゅう同じこと考えてますよ。」
って聞いたときは。
溜め込んだ毒を一気に吐き出せた感じ。すんげぇ楽になった。

大型バイクでツーリングを楽しむライダーや、
旅慣れた日本一周人には出会っていたけれど。
原付で長旅に挑戦していて、
まだ日が浅い人にはね、
そうそう会えるもんじゃありません。
このタイミングで彼と知り合えたのは大きかったな。

ほかには…、
あー、そうそう。
「カブで南極横断はできるか?」
って話もしたっけ(笑。

こんなブッ飛んだ流れになったのは、
憧れの人が共通していたから。
誰かというと、世界初の五大陸最高峰登頂や、
これまた世界初の北極点単独行を成功させた、
冒険家の植村直己氏です。

惹きつけられるのは、
登山や冒険を徹底して「単独」で行う氏のスタイル。
独りで挑むってことは、成功も失敗も、
その原因を自分に求められるってこと。
上手くいかなくても、言い訳なんて出来ません。
自分が虚しくなるだけだしね。
どーしようもないくらいシビアなんです。

そんなリスキーな挑戦に、
なんで何度も挑めるんだろう。
たった独りで苦行に挑むとき、
心の中では何を考えているのだろう。
推しはかることなんてできやしない。
ただただ感服するな…。

あ、それでね、
二人してなんだけど、
スゴいなぁと思う反面、負けたくない!とも思うんだな。
おこがましいけれど(苦笑。
で、「カブで南極を横断できるか。」に繋がるワケです。
張り合ってもしょーがないのにね。

ほかにも、
霊的なアレで宿泊を避けるべきキャンプ場や
出会ってしまったら警戒すべき人の特徴。
雨の日の過ごし方や今後のルートなどなど。
一通り落ち着くまで話しきってから、
各々のテントに戻り眠りに着きました。




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[ 2007年6月7日② ]

あの音はどう表現したらいいのだろう。
活字にするのが本当に難しい。

「ぷぅ。」ではない。
「ぶぅ。」でもない。
「ブッ。」も違うな。
「ブー。」と伸ばしてみても、イメージにはそぐわない。

あえていうなら「びぃ~。」かな(苦笑。
音というよりは、「振動」といった感じだ。
発生源の周辺が小刻みに震えるさまが、
はっきりとイメージできる。

空気を切り裂くその響きには、
場の雰囲気を一変させる力がある。
他者の干渉により募った私のイライラを、
瞬時にかき消してくれました。

え?なんの話かって?
…オナラですよ(笑。
立石寺を推してくれたKさんには、
オナラにまつわる忘れられない思い出があります。
ちょっぴり汚い話で申し訳ないけれど、
よかったらお付き合い下さい。

前職はここ福島で、
国立公園管理の仕事をしておりました。
登山道の補修やゴミ拾い、
ビジターセンターの受付などが主な業務です。
で、忘れちゃならない重要な役目の一つとして、
公園内のトイレ掃除がありました。

対象となるトイレは、
磐梯吾妻スカイライン沿いの不動沢に一つ、
浄土平の駐車場に一つの
合わせて二つ。
仕事始めと終わりに立ち寄り、
水をまいてブラシをかけ
便器を丁寧に磨いていきます。

正直、最初は掃除するさまを
他人に見られることが恥ずかしかった(苦笑。
でも、回数を重ねるごとに、
そんな気持ちは消えていきました。
「キレイにしてやるぞ、こんちくしょう。」
って心意気で取り組んでいたっけ(笑。

それはさておき…。
職員は月単位のローテーションで、
いろいろな業務を担当します。
巡り巡って、60代前半の男性、
Kさんと二人でトイレ掃除の担当になった際に、
その出来事は起こりました。


(最高の景色が見られる場所で、はたして何があったのか…。)

ある日、不動沢のトイレを
掃除していたときのこと。
鼻歌を歌いながら初老の男性が入ってきた。
ブツブツと独り言を呟いてるぞ…。
警戒していたら、
どうやらイイ具合に酔っているもよう。
たぶん観光バスで来た旅行者だ。

用を足し終えたその男性。
スッキリしたら開放的になったようで、
声を出して歌い始めました。
もうね、あきらかに歌う自分自身に酔っている。
それを、もくもくと掃除をするKさんと自分に、
見せつけたくてしょうがないみたい(汗。

無視を決め込んだものの
心はザワつき始め、次第に黒く染まっていく。
あ゛~、イライラするなぁ。
用が済んだんなら、出ていけばいいのに。
思いが言葉になりかけた、まさにそのとき…。

「びぃ~っ!!」

えっ…!?。

不意に鳴り響いた音に耳をつんざかれ、
次いで静けさに身を包まれる。
まるで時が止まったかのよう。

なんだ?なにが起こった?
一瞬事態の把握に戸惑い、
一呼吸置いてから状況を理解する。

あ…。
…Kさんのオナラだよ(汗。

気がつくと歌い声は聞こえなくなっていて、
声の主はそそくさとトイレを出ていきました。

なんて平和的な解決だ(笑。
オナラをキッカケとして、
殺伐とした空気が180度変わってしまった。
スーっと毒が抜けて、心が軽くなったよう。

気分をさらに爽やかにしたのは、
Kさん本人が完全に無作為であったこと。
普段の付き合いで、
狙って屁をこく人じゃないことはわかっています。

周囲を気にせずオナラをすることと、
その音がモノスゴイことは知っていたけれど…。
なかなかあのタイミングでは出ないよね(笑。
人前ですることが恥ずかしいとか、
そんなこととは次元がちがう。
なんつーか、惚れ惚れしてしまいました。

あ、ちなみに、
私は人前で無作為にオナラはしません。
というか出来ません(苦笑。
もし、してしまったとしたら、
一週間くらいは後悔に苛まれると思う。

Kさんの域に達していれば、
そんなことは全く気にしないんだろーね(笑。




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[2007年5月23日①]

「上和田緑地キャンプ場」で迎えた朝。

寝ぼけた頭で、寝床から外に出ると…。あれ?昨日は、なかったのにな。


トイレ裏の広場に、テントとバイクがありました。
自分が寝付いてから、来た人がいたんだね。
全く、排気音が気にならなかった。そんだけ、熟睡できてたってコトか。

朝ゴハンを済ませて、撤収作業をしていると、入口のジッパーが開いて、男性が出てきました。
あいさつをして、コーヒーをすすめてみよう。

この旅で、初めての試み。
ドキドキしながら、声を掛けます。

「いただきます。」って返事に、正直、ホッと一息(笑。
いりません、って場合もあるからね。そうなったら、ヘコむこと必死。
相手次第だから、しょーがないんだけど。

マグカップを出してもらい、インスタントコーヒーに、沸かしたお湯を注ぎます。
二人して飲みながら、どちらからということもなく、話しはじめました。

この男性。
年齢は、たぶん自分の少し上。30代前半、かな。
なんと、同じ埼玉県民。川口市に住んでいるそう。
仕事を辞めて、次の仕事を探す前に、バイクで日本各地をまわってるんだってさ。


(愛車は、カワサキのNinja。)

大きなバイクだけど、高速道路は使わない。
そう決めてるって言ってたけど、なんでだったかな。

ま、それは置いといて。
話は、旅後の生活にも及びました。

今は今で、精一杯、毎日を楽しんでいる。
でも、日本一周を終えたら、仕事を探す現実が待っているワケで。
ふと、就職活動のことを考えると、憂鬱になる自分がいます。
上手く職に就けなくて、路頭に迷ったらどうしよう…。

だから、自然と口から出た、この質問。

「家に帰って、仕事を探すのって、メッチャしんどくないですか?」

自分が今、不安に思ってること。他の人は、どう思ってるんだろ。
似た境遇の人に出会ったら、確認したくなりません?

すると、間を置かず、思いがけない答えが返ってきました。

「んー…、仕事嫌いだし。
なんでもいいから見つかれば、って感じなんで。不安はないです。」

ふへ…。

キョトンとしちゃいました。
自分が悩んでいるコトを、悩みとして捉えてないんだもん。

加えて。
あくまでも社会の風潮から考えると、ですよ。
30才を過ぎて、定職に就かずプラプラしていると、世間の目が厳しいですよね。

でも、この人。全く気にしてないんです。
たぶん、心で思ったことを、そのまま口にしている。

ツッコミどころはあるけれど。
周りがどうとか関係なく、自分の意見をハッキリと言えるのはスゴい。

自分の場合はどうか。他人の目を気にした発言が多いな(汗。
あまり浮いたコトは言わないように、気を使ってしまっている。

本当はそう思っていなくても、あたりさわりなく、その場がまとまるように話して。
で、後になって、「あー、ホントはこう思うんだけどな…。」ってことがしばしば(苦笑。

ま、空気を読む能力も必要ですよ。
でも、周りに合わせ過ぎちゃったらね。想いが伝わらないし、ストレスが溜まる。

過度に人目を気にする必要は、ないんだ。
見習おう。

8月には、このライダーさんも、北海道に行くみたい。
時期的に、自分も上陸してるハズ。

「また会いましょう!」
お互いにそう言ってから別れ、「上和田緑地キャンプ場」を後にしました。





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