ちょうどいい洋楽和訳

ちょうどいい洋楽和訳

息抜きがてら気ままに好きな洋楽の和訳をしていこうと思います。
固すぎず意訳しすぎず、ちょうどいいくらいの和訳を目指してます。
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こんにちは。「洋楽和訳ブログ」を名乗りながらも名探偵コナンの話題が半分近くを占めている気がしないでもないですが、毎年の一大イベント、劇場版コナンを見てきましたので、興奮冷めやらぬうちに感想を書きたいと思います。

盛大にネタバレしていきますのでご注意ください。

 

前作の最後にジンの声を聞いた時から、「おおー、本気出す気だな?」と思っていましたが、想像以上に本気でした。

総合的に、非常に、非常に満足度が高い作品でした。

 

良かったところ

いきなりざっくりですが、全体的に良かったです。

ここ数年の「コナン」は一人のキャラクターをメインとし、そのキャラクターに活躍させるパターンが多く(服部平次、安室透、京極誠、そして赤井秀一)、正直、明らかに女性ファンを意識しているのが見え見えでした。(「その手離したら〇すで!!」や警察学校組のゴリ推しなど。)

その流れからして、灰原哀メインと知った時には「ああ、今度はコ哀ファンに媚を売るのか…」と若干げんなりしなかったと言えば嘘になります。わざとらしくコ哀の恋愛関係をチラつかせたりしてね。しかし、ふたを開けてみれば物語の大半は、あくまで強大な組織+窮地の灰原+大切な相棒を救うために奮闘するコナン。浮ついている余裕もない緊迫感の中で、とても自然に各キャラクターが活躍していたと思います。(ワンシーンを除いては…。これについては後述します。)

 

特に良いなと思ったのが蘭の描き方。熱狂的なコ哀ファンは往々にしてアンチ蘭であることが多く、灰原哀メインの映画において蘭の扱いはとても難しいと思います。おせっかいな空手バカ(代表例は「絶海の探偵」)にしてしまうと、ますますアンチが増えますからね。実際、予告では戦っている様子しか見られなかったので、心配でした。

しかし今作では、戦うラン・ネー・チャン(この呼び方を考えた人、天才だと思いますw)はクライマックスではなく中盤に持ってきて、それ以降は灰原にとっては姉を思い出させる優しいお姉さんという存在として登場し、蘭の強さと優しさ、両方がとても自然に描かれていました。これぞ我らが蘭姉ちゃんです。

 

もう一つ、恐らく予告の時からファンの期待が高かった阿笠博士の活躍。個人的には、カーチェイスでの活躍よりも、コナンが一人で海から上がってきたときの涙に心打たれました。探偵団、蘭、そして誰よりも自分のために泣いてくれる博士という愛してくれる人たちがいるからこそ、今作の灰原は「天国へのカウントダウン」とは違い、あくまで生きて帰ることを目指せたんだと思います。

 

そして今作のもう一つのメイン、ジンとゆかいな仲間たち(黒の組織)。いつもより彼らの人間性が現れていて面白かったです。特にウォッカはキールに潜水艦の説明を事細かにしてくれるあたり、憎めませんね。でも直美のお父さんのシーンは普通に怖かったですw。

ジンの「クソシステム」発言は、隠れた流行語になることでしょう。潜入したっきり時々メールをくれるだけだったキールの有能ぶりを見られたのも嬉しかったです。相変わらずジンの周りはネズミだらけで、ベルモットも相変わらず団体行動ができないし、ジンが気の毒ですw

 

あとめちゃめちゃ細かい話なんですが、エンディングでお土産らしき置物のイルカが映ったこと。古い話ですが、かつて灰原は蘭をイルカ、自分を鮫に例えて、「鮫は人気者のイルカには敵わない」と蘭を避けていました。エンディングにイルカの置物が描かれた意図は分かりませんが、「灰原」と「イルカ」でこの話を思い出す人も一定数いるはずです。もし「今の灰原はもう鮫ではなく多くの人に愛されているイルカだ」という意味でイルカの置物が描かれたのなら・・・いかん、泣けてきた。

 

 

解せないところ

先ほど蘭の描き方を「良かったところ」として挙げましたが、対照的にちょっと残念だったのは探偵団の描き方。組織戦にがっつり絡ませられないのは重々承知なんですが、もう少し、こう、灰原との心の繋がりみたいなものを見たかった。

灰原が直美に言った「子供の言葉や行動で人生が変わることもある。私は変われた。」というのは、自分のことを「哀ちゃん」と慕い、「逃げてばっかりじゃ勝てないもん!」と言ってくれた歩美ちゃんであり、危険を冒してでも灰原が見たいといった蛍を捕まえに行ってくれた光彦であり、「米粒一つも残さない」と命を助けてくれた元太のことだと思います。組織戦に関わらせられないのなら、せめてコナンのように、どこかでこれらの回想があっても良かったのでは…というか、あったらもっと泣けただろうな、と思います。

同様に、少しでいいから小五郎のおっちゃんの格好いいところを見せてくれ…。

探偵団もおっちゃんも、あまり詰め込みすぎても良くないので取捨選択した結果だとは思いますが…。

 

そして、先ほど「後述する」と書いた点。コナンと灰原の”キス”です。人工呼吸するのは全然いいんです。でもそこはあくまで、相棒の命を助けるための行動としてサラッと流してほしかった。「私たちキスしちゃったのよ」で突然恋愛要素を持ち出すのはなんだか場違いな気がしました。だってコナンと灰原は、(昔、一瞬恋愛感情もありましたが)少なくとも今は、恋愛感情抜きに成り立っている無二の相棒であり、現に、今作でもこのシーンまで一度も恋愛感情は示唆されていなかったから。

まあ、最後に蘭に”返した”ことで無かったことにしてくれたから良かったのかな、と。

 

あともう一つ、あの警視庁のメンツで高木刑事なんでいないの?去年活躍しすぎて疲れた?インターポールと仕事をするには下っ端すぎる?(ルパン&コナンで銭形警部と組んでたけど…。)

 

 

と、いうことで”キス”に若干面食らいはしましたが、総合的には近年トップの満足度でした。無駄だと感じるシーンが全く無く、最初から最後まであっという間でした。3~4回は見ようかな。高山みなみさんと林原めぐみさんに脱帽です。なんかもう、オープニングで二人の名前を見るだけで泣けるんですよねw。ああそうそう、オープニングも今作はいつもに増して見ごたえがあります。

巷では「今回こそ100億」と言われてますが、個人的には100億行っても行かなくてもどっちでもいいです。ただ、100億行くなら、今作が相応しいと思います。

 

”キス”つながりで来年は平次VSキッドのようです。和葉をめぐって…って感じですかね。今回が重かったので、来年はコメディ回でしょうか。それはそれで楽しみです。