悲しみはフェトの後に | LOVES ME LOVES ME NOT

LOVES ME LOVES ME NOT

ストイックになりたい僕が過ぎ行く日々を綴る僕の僕による僕だけの日記

会議はおそらく行われていたと思う


僕の意識は夕方行った集金先のサービスエリア


小春日和の喫煙所にあった


僕は目の前のアウディA4を眺めながら


いつもの様に


左手に煙草


右手に缶コーヒーを持っていた


煙草を灰皿に投げ込んではラブホのライターで火をつけた


僕は暑かったので腕まくりをして山肌から吹き込んでくる風にナロータイをなびかせながら


ここ2日間の事を考えてみた


かれこれ1時間近くそこで立ち尽くしていたけれど


その間しばしのブレイクを挟むドライバー達には


僕は悲壮感の固まりにしか映らなかったと思う



4月10日


僕はこの日を楽しみに過ごしてきた


そう言っても過言ではない


何度も電卓をはじき


緻密に僕が受け取るであろう金額をはじき出しては


先輩と何を買おうかとかデスクで話し合っていたのを思い出す


これは僕の労働の対価であり


正当なインセンティブであると自負していた


衝撃は朝の本店からのメールと共にやってきたんだ


端的に言えば僕の貰えるはずのインセンティブが半分だった


いやそれ以下だった


早期達成して、達成率115%、優績にも選ばれた


全てが無駄だった


怒りを通り越して笑いが出る程だった


むしろ笑うしかなかった


馬鹿らしい



4月11日


極端にヤル気が失せた僕は


一切働かなかった


僕の小さな小さな抗議だった


複数の支店長が異議申し立てを本店に立てたらしいが


それも虚しく終わってしまった


ストライキ的ものをやろうという話も営業から出ていたが


そんなものやったところでの話だった


その晩


支店の歓送迎会が催され


僕はむしゃくしゃしてたので結構飲んだ


嫌な事を流すのは酒に限ると今だけはそうだと信じたかった



4月12日


僕等のノルマは二部構成で成り立っている


僕が理解し得ない金額を提示されたのともう一つ


その会議が朝からあって


詰められた


もの凄く気分が悪かった


そんな事もうどうだっていいんだって言いたかった


昼からは少しは働いた


数字を振ってやった同期のインセンティブを聞くまではね



支店会議に戻る


僕はぼんやりと会議資料を見つめてる


意識の遠くの方で支店長がなにやら言っているのだけは分かる


…やってもらわなければ困る…


…渉外はこれだけやるんだから本店の人間はやるべき事をやって欲しい…


何にぷりぷりしてるのか分からなかったけど


僕等渉外に怒っているんじゃないのだけは分かった


でももううんざりだった


数字とかノルマとか必達とか事業計画とか


やっても出なかったんだよ


精神すり減らしてやった代償がこれだったんだよ


僕はちゃんと評価される程数字を積み重ねたんだよ


それがこれだ


方針転換だか


経費削減だか知らないけど


全額出すって明言したあのセリフは何処にいっちまったんだよ


別事業で少し数字あげた同期のインセンティブが僕の倍近くあったんだよ



僕は情けなかった


自分がとても惨めだとも思った


死ぬ程


本当に死ぬ程悔しかった


帰り道


車を運転しながら


僕は久しぶりに泣いた


ハンドルをバンバン叩きながら泣いた


何度も何度も泣くなって言い聞かせたけど


その度に眼鏡レンズに涙が溜まっていって


外してもまだ泣いた


もう家に着く最後の方は前なんて見てなかった


涙で見えなかった


僕は声を出して泣いていた


本当に悔しかった


家に着いても車からしばらく降りれなかった


こんなに泣いたのは何時ぶりだろうか


そのくらい泣いた


何もかもの糸が切れてしまった


もう無理だと分かった


これが限界だと


分かったよ


やっと