Dが眠った。一人、起き上がって、もう一つのDの部屋へ。
どうせ明日出て行くのなら、伝えたいことを書いておこう、、。
私とDはすごく似ている。きっともうここまで似ている人は出会えないと思う。傷つくのが人一倍怖くて、いつも要領はよいやり方で、ずるいやりかたで自分が傷つかないように守る。私の浮気もそうだし、人をあんまり信用しようとしない。幸い私には相談したり、悩みや愚痴を言い合える友達がいる。
でもDは、今まで人を信用したことがないという。家族や兄弟や、友達彼女、何か辛いことがあっても一人で解決して、なぜだか人に相談したり、ぐちることもなかったらしい。
私には始めてこころを開いたと言う。私も彼氏であろうが、他人の言うことは鵜呑みにしないので、本当かわからないけど、Dにとって私は始めて信用してもいいかなという対象だったらしいのだ。
きっと、現代病なのだ。時代の産物、きっとうちらだけではない。そんな二人が希望を始めて持って、寄り添っている。弱いもの同士の傷のなめあいかもしれないけど。
でも私は裏切った。浮気もばれたし、Dのことが信用できずに、他の男に乗り換えようとしたこともばれていた。私の弱さから全部壊してしまった反省と、伝えることの難しい自分の本当の素直な気持ちを6枚もの紙に書きつずった。
さっき、
「もう、誰のことも信用しないで、また昔の自分にもどって生きていくし。」
そう言っていたDに人を信じたり、心を開くことをあきらめないでほしいってことと、私はやっぱりDのことが好きすぎて信用できなくてきつかったこと、最後の手紙を書き終わるともう7時になっていた。
9時にはDを起こさなくてはいけない。私はDの隣ではなく、ソファーで眠った。
起きると、気まずい雰囲気。
なんでもないようなふりをしながらも、いざDが仕事に行く準備を終えて部屋の床に座った時、心臓がドキドキ早まった。
Dが仕事から帰ってくる頃には私は出かけることになっていた。もうここで、会うのは最後だな、、、。
お互い何にも言えず、ただいいとも増刊号を見て、黙っていた。
「そろそろ時間?」
そう言うと、Dは近づいてまた私を抱きしめた。私は泣き笑いをして、玄関でまたしばらく抱き合ったまま時間を過ごした。いつもは
「いってらっしゃい」
なのに
「じゃーね」
そう言うと、Dは
「いやだ!」
と言って階段を下りていった。
車の中から手を振って、私も泣きながら手を振って、一人になるとDが実家に持って帰るだろうシャツなどを丁寧にアイロンがけした。
仕事と言っても簡単な会食ということだったので、二時間以内に出かけなくてはいけない、、
手紙は仕事が終わってから読んでと言って渡していた。
しばらくしてメールがきた。
「もう少し、一緒にいたい」
予想はしていた、
「どういう意味?あとどのくらい?」
「急なことでよく解らない」
そんなやりとり。いつも私が一方的にわかれを切り出し、Dがしぶる。確かに私の別れ話は唐突だが、そのくらいきついのはDに私が依存しているからだと思う。
混乱して親友に電話、一時間ほど話し込んでしまったらDから電話がかかってきて、親友のアドバイスにしたがって素直な気持ちで話し合った。
結果、私はまたDとのこの中途半端な同棲生活を選んでしまった。
こうなったらもうとことんいってしまおう。
また、きっときつくなって追い出そうとするのだろう。でも、本当は私はまだ一緒にいたいのだ。