Dum/VO 第1話 「インスタントパディラー」 | ヴォーカーズ

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第1話 「インスタントパディラー」

 

運試師の野心

 

霧に包まれた街の路地裏。

ネオンライトがぼんやりと反射するカフェで、足立はコーヒーをかき回しながら、静かにTSPを待っていた。

運試師の彼は、街のイベントを操る影の仕掛け人?としてちょっと有名だった。

 

トランプの束を前に、運命を試すような企画を次々と生み出す男として。

 

今日は、「インスタントパディラー」についてTSPと話すつもりだったらしい。

 

待ち合わせのカフェラウンジ。3回目ではあるが、会う度に面白いネタを提供してくれる足立。

 

「1時間で2000円から1万円。動画と写真のセットだけど、顔出しNGでもいいよ。ただ、その場合は2000円。基本的に1時間以内で終わるからさ」と穏やかに微笑みながら交渉すると語る足立のインスタントパディラー案。

 

「ランチ代くらいにはなるでしょ? 顔を出してくれれば、3000円から、最高1万円まで。どう?」

彼のスタイルは、報酬を餌に心を掴むもの。1時間を超える場合、メニューを変えて再交渉。

そんなインスタントパディラーメニューを今回は話してくれた。

 

足立「パチンコで散財するより、こっちの方が夢があるし、楽しいんですよ」

 

彼の言葉は、甘い毒のように響いた。私は、彼から特別に共有された動画と写真を覗き見た。

 

21歳の日向さん。画面の中で、彼女は優雅にトランプを引く。黒い瞳がカードを映し、唇がわずかに動く。

確かに、華があった。素人とは思えない、磁石のような魅力。見る者を引き込む何かがあった。

「日向さんの報酬、いくらだったの?」私は好奇心から聞いた。足立は目を逸らし、曖昧に笑っただけ。

答えはなし。怪しい。明らかに、何かを隠している。それでも彼は話し続けた。

 

 

「他にも4人の女性に協力してもらってるよ。YouTubeやInstagramにアップして、フォロワーがじわじわ増えてるんだ」

証拠のように、他のクリップを見せてくれた。どの女性も、それぞれの輝きを放っていた。

だが、日向さんのものが特別に鮮やかだった。なぜ、彼女のだけを最初に推すのか?そこに、足立の真のプランがあった。

 

彼は日向さんを、ただの「インスタントパディラー」から脱却させたいと思っていた。「プロ・パディラー」へ。

一枚のカードが、彼女の人生を本物のステージに変える。足立の目には、そんな野心が燃えていた。

 

街の霧が深まる中、この物語はまだ、始まったばかり。