秋に集う女声合唱演奏会のご報告 | INClaireの音楽な日々

INClaireの音楽な日々

内藤郁子INClaireが、音楽について日々思うことや生活の中の音楽の話を書きます
音楽のたくさんのジャンルで、壁を作らず線引きだけして、
どれも体験して、魅力の違いを比べるのがおもしろい
音楽って一曲ずつそれぞれの魅力だと思います


Chère Musique



9月17日“秋に集う女声合唱演奏会”、無事終了しました。
ほとんど満席になり、嬉しかったです。
聴きにいらしてくださったお客様、ありがとうございました。


倉岡典子、信先生ご夫妻が主宰する合唱団体“音楽工房くら”。
私の所属するア・カペラ ヴォーカル アンサンブルCoro Linoを含めて全部で9つある合唱団の中の、女声部からの希望者が出演する演奏会でした。
50人近い合唱団となりました。


これは“春に集う女声合唱演奏会”として2020年4月12日に開催するはずだった企画なので、当日はこれまでの三年半の間のことをいろいろと思い出し、出演者みんなの感動も一入。
そして私たちのためにたくさんの著名な演奏家が共演してくださり、感動を共有してくださいました。





演目をご紹介します。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

【第1ステージ】
女声合唱とピアノのための『日本浪漫歌抄』 編曲:鈴木輝昭

宵待草(作詞:竹久夢二 作曲:多忠亮)
初恋(作詞:石川啄木 作曲:越谷達之助)
お菓子と娘(作詞:西条八十 作曲:橋本国彦)
出船(作詞:勝田香月 作曲:杉山長谷夫)
ゴンドラの唄(作詞:吉井勇 作曲:中山晋平)
砂山(作詞:北原白秋 作曲:中山晋平)


【第2ステージ】
『三つの聖歌(合唱版)』 作曲:G. A. Rossini ロッシーニ 編曲:塚田真理

La Fede 信仰
La Speranza 希望
La Carità 愛


【第3ステージ】
『Sancta Maria, mater Dei  K.273』『ミサ曲変ロ短調よりAgnus Dei. K.275』 作曲:W.A.Mozart モーツァルト


【第4ステージ】
『Stabat Mater スターバト・マーテル』 作曲:G. B. Pergolesi ペルゴレージ

1. Stabat mater dolorosa 悲しみの聖母は涙にくれて
2. Cujus animam gementem 嘆き悲しみ
3. O quam tristis et afflicta おお、神のひとり子の
4. Quae moerebat et dolebat 尊き御子の苦しみを
5. Quis est homo これほどに嘆きたまえる
6. Vidit suum dulcem natum また苦悶のうちに見捨てられ
7. Eja mater fons amoris 愛の泉なる聖母よ
8. Fac,ut ardeat cor meum その御心にかなうべく
9. Sancta mater,istud agas 聖なる御母よ
10. Fac ut portem Christi nortem われにキリストの死を負わしめ
11. Inflammatus et accensus おお乙女よ、審判の日に
12. Quando corpus morietur 肉体が死するとき〜Amen アーメン


(生徒さんが歌詞をカリグラフィーで描いてくださいました)



【アンコール】
『Ave Maria』 作曲:塚田真理
『初恋』 日本浪漫歌抄より


ーーーーーーーーーーーーーーーー


各プログラムについてもう少しお話しすると。。。


『日本浪漫歌抄』

私たちは30年余りにわたる長い活動の中で、三善晃、小山章三、鈴木輝昭、塚田真理といった素晴らしい作曲家の方々に、作曲委嘱や編曲委嘱が叶ってきました。

この『日本浪漫歌抄』は、2009年に“旭が丘女声合唱団”が、鈴木輝昭さんに編曲を委嘱したものです。
数多くある大正時代の日本歌曲から厳選して六曲を、とても魅力的な合唱作品に作ってくださいました。
今では日本中の合唱団によって歌われていますが、私たち“音楽工房くら”にとって宝物のような作品の一つです。



『三つの聖歌』

ロッシーニというとオペラですが、その数少ない、でもとても多く歌われているキリスト教歌曲です。

今回の弦楽合奏の編曲は、私たちにゆかりの深い作曲家塚田真理さんがしてくださいました。



第3ステージでは、倉岡信先生の指揮で“音楽工房くら”の最大規模のグループ“モーツァルトミサ曲合唱団東京”が、友情出演してくださいました。
といってもその女声部のほとんどは、この“秋に集う女声合唱演奏会”の主役たちなのですけれどね。

2024年3月31日に決まっているミサ曲演奏会の練習と宣伝も兼ねてのご出演でした。



メインプログラムであるペルゴレージの『スターバト・マーテル』については、、、、ここでは書ききれません。
別のところでショートエッセイを出していますが、ここでも次回、じっくり書きたいと思います。





最後に、合唱団以外の出演者をご紹介します。

『日本浪漫歌抄』では、長年“旭が丘女声合唱団”でピアニストを務めてくださっていた、今は国立音楽大学の先生となっているピアニスト松岡直子さんが、今回私たちと共演してくださいました。
久しぶりに松岡さんのピアノで歌って、やっぱり音が違う!こんなに気持ちのいいものだったんだと、しみじみ感じました。


『三つの聖歌』は三曲目の『La Carità 愛』でソプラノソロが登場します。
“BS日本・こころの歌”のフォレスタで長く主役を務めてこられたあの白石佐和子さんが、歌ってくださいました。
お若い無名の頃から何度も関わってくださっているので、ペルゴレージでは合唱団の一員となって一緒に歌ってくださいました。


ペルゴレージ 『スターバト マーテル』では素晴らしい著名なソリストの方をお招きすることができました。
ソプラノソロに高橋薫子さん、アルトソロに牧野真由美さんです。
このお二方もお若い頃から、“音楽工房くら”の毎年恒例の「モーツァルトミサ曲を全曲歌うプロジェクト」にソリストとして来てくださっているので、今回の三年半ぶりの再会をとても喜んでくださり、感動を共にしてくださいました。

 
そして作曲家、ピアニスト、オルガニストでいらっしゃる塚田真理さんは、あの日本の誇る作曲家三善晃さんの最後の愛弟子と言われている方で、学生でいらした頃から“音楽工房くら”のいろいろな演奏に参加してくださっていました。
今回は『三つの聖歌』の弦楽編曲、モーツァルトとペルゴレージでのオルガン演奏、そしてアンコールにご自身の作品のご提供と伴奏、たくさん活躍してくださいました。





本当に楽しかった!
この「みんなで歌う」という特別な心地よさを求めて私たちは合唱を続けて来たのだと、あらためて再確認しました。
これを機に私たちも、またたくさんの合唱の演奏会ができるようになっていくといいなぁ。


次のおおきな舞台は3月31日のモーツァルトですが、それまでの間にもいくつかの合唱イベントに出演させていただく予定です!




Musique, Elle a des ailes.