成田屋の「にらみ」 | 社長のスピーチコーチ 森 裕喜子のプライベートブログ

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経営者やトップアスリートのスピーチコーチ、森裕喜子が日々のプライベートな出来事などを綴ります。(2021年8月よりプライベート版に改定)

先日、テレビ番組で
市川海老蔵さんが語った言葉に、
感動した。

>「にらみ」をやるときには、まず目を閉じるんです。
そして、ゆっくり開くんです。
開いたとき、あちらの世界と繋がってるんです。

「にらみ」とは、
成田屋特有の芸。
「ひとつ、にらんでご覧にいれまする」という、あれ。
ただ、目を開けて、一点を見ているだけのことである。
時間にすると、ほんの数秒か10秒くらいの芸。

「ただ目を開いて見つめるだけ」と言ってしまえばそれまでだが、
見ると、
涙が出てくる。
ぞわぞわする。

なぜじゃ。

ただの目の動き。
されどそれを行い「芸」と呼ばれるものにするために、
役者は生涯をかけて自分を磨く。

ただ目を閉じて開ける、と言っても、
あの世界とつながるほどのエネルギーが使われているのだ。
だから、そのエネルギーに、感動する。

見る側というのは、勝手なもんだ。
ちゃんと見てないのだ。
だって、にらみの目、パッと素早く開くもんだとばっかり思っていた。

なんと・・・

ゆっくり開けるからこそ、
しっかり大きく開かれて、あの「にらみ」になるのだったか・・・・

ただ閉じた目を開くだけ。
だが、その一つの動きにも、意味があり、やり方があり、放つものがある。
だから余人にはなしえぬ芸になり、
人はそれを見るために並ぶのだ。
何世代にも渡って・・・。


スピーチプレゼン。
ただ話すだけと言っちまえばそれまでですよ。
でも、時に人の心を動かし、人生までも変える。
そのために、たった一言を絞り出すために、多くの時間をかけ、工夫を凝らす。
だからこそ、やりがいがあるのだ。


こういうのは、ロボットの「AI」には、ない感覚じゃないかな。
人間だなあ。