日本のプレゼン力、真価はこれから | 社長のスピーチコーチ 森 裕喜子のプライベートブログ

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経営者やトップアスリートのスピーチコーチ、森裕喜子が日々のプライベートな出来事などを綴ります。(2021年8月よりプライベート版に改定)

日本のプレゼン史(まだそういうものは無いが・・・)が
一夜にして塗り替えられた、と、私は捉えている
東京オリンピック招致プレゼン。

もうそろそろまとめておこうという時期に、
プレゼンをコンサルしたニック・バーリー氏の本が出た。
改めて、五輪プレゼンを簡単レビューするつもりで読んだ。

日本はこうしてオリンピックを勝ち取った! 世界を動かすプレゼン力/ニック・バーリー

(NHK出版)


内容は、

・五輪招致での各プレゼンターの分析やスピーチ原稿
・全体の戦略の立て方
・これからの日本のプレゼン発信

という流れ。

前回のリオプレゼン失敗を分析し、
競合国に打ち勝てる戦略戦術(スピーチ内容や順番、練習の仕方まで)に関して
プレゼン成功への実録、というような感じで、わかりやすく書かれている。


今回のプレゼンでは
「Discover Tomorrow」をスローガンとし、
トウキョウが五輪に何が出来るか、という視点から戦略を立てたという。

そういえば、招致活動中、トウキョウの街にはこのスローガンが書かれたフラッグ、
いっぱいありました。


戦略がとにかく大事!
というのは、
ビジネスではまったくもってアタリマエなのだが、
スピーチプレゼンでも同様である。


聞き手の分析、競合に勝てる戦略の事例として興味深いが、
一番最後の部分は、海外からみた日本についてマクロ視点が書いてある。


発信が苦手な日本(日本人)が今回成功した、
これは世界に日本をマーケティングする最大のチャンス。
だが、自分を売り込むことが苦手でコンサバな国民性は、
この一回の成功を糧に、本当に変わりえるのか。

というような部分だ。

プレゼンが成功したことを、今回だけのものにしてほしくない、というバーリー氏の考え。

逆説的にこれを受け止めれば、
今回の成功で喜んで終わっている場合じゃないですよ、ということだろう。


その日本に暮らす一人として感じるのは、
プレゼン成功したことを一番驚いているのは、実は、当の日本人だろう、ということ。

そして、
スピーチプレゼンのトレーナーとして感じるのは、
このプレゼン成功への歓喜と驚きが
「ああ、すごかったよね」
と、まるでひとごとのようにして、
一夜のお祭り騒ぎで終わってしまっては困る、ということ。


いわずもがな、
人前で話すことは、自分の価値に市場性を持たせるマーケティング活動であり、
よって、ビジネスで行うスピーチプレゼンは、コミュニケーション戦略である。

しかし、まだまだ戦略的に考えることは根付いていない。
そもそも、人と違う、出る杭になることを歓迎しない穏やかな国民性が
「こんなにも魅力的で、他国とは違うんです~!」と
海の外に向かってだけは器用に発信しましょう、というのは、難しい。


バーリー氏が言っているように、
今、日本は世界に発信できる、最大のマーケティング的なチャンス!。

ということは、
つまり、
日本人自身のスピーチプレゼン力を大~きくジャンプさせる
最高の機会を迎えているのであり、
現時点で戦略的に取組もうとすることは、大変に先手必勝なのだ!


出る杭になって勇気を持って発信し、
自分の真価やサービスの真価が伝わり、顧客が動き世界が変わる。
これはとてもダイナミックだ。

だから、スピーチプレゼンはおもしろいのである。


この機会を捉えたいみなさま、
共に、広く、さらに、前進していきましょう。


*参考になる記事
http://wired.jp/2014/03/08/nick-varley-interview/

*参考になる映像
http://www.youtube.com/watch?v=eZkAYlewe44

森 裕喜子