先日、ジャズ歌手をやってまいりました。
もう年に1度くらいしか人様の前で歌いませんが、
昔はステージで歌ったものです。。。。(知るヒトぞ知る)
先日歌ったライブハウスは2度目の出演でしたが、
今回は歌いやすかったですね。
マイクの音質も、モニターも、初回よりよくなっていたからです!
歌や演奏をするときに非常に重要なのが、この「モニター」です。
ステージに居る人が、全体の音を聞き、自分の音も確認するための、スピーカーのことですね。
「返し」とも言います。
このモニターの状況が悪いと、非常にやりづらい。
自分と他の音とのバランスを取っていくことができなくなるからです。
自分の出している音がどんなふうに客席に届いているのか、
これらを察知できることが、プロには必要です。
歌に限ったことではなく、人前で話すときも、もちろん、同じ。
モニター能力と、人前で話す能力は比例しているようです。
自分が伝えようとしていることが、どれほど相手に伝わっているのか。
手を広げて話すとき、聞き手からはどんなふうに見えているのか。
声を大きくした際、自分が期待しているインパクトをそのまま出せているのか。
こういった状況は、挙げればキリがありません。
これらについてよく観察し、察知できる能力=モニター能力は、必須です。
本来、誰でもこの能力は備わっているはず。
しかし、様々な要因で、気付かないうちに
モニター能力を低下させてしまうことがあります。
例えば・・・
*イヤホンで音楽などを聞くことを習慣としている
*便秘がちである
イヤホンをしながら、地下鉄で周りにも聴こえるような大音量を出す人を、時折見かけます。
耳が痛くないのだろうか?と思いますが、
多分、感覚が麻痺しているんでしょう。
トレーニングにいらっしゃる方で
イヤホンの習慣がある方には、すぐにやめてもらうようにお願いしています。
私が子供の頃教えてくださった声楽の先生は、
「本番の3日前からは、電話もしません。嫌な音、ダメな音楽、下手な演奏も、一切聞きません。」
とおっしゃいました。
耳も声もつながっている。
自分の感覚は大事にしなければならない。
それを阻害するようなものは、とことん排除なさい、ということなのです。
トレーニングをする側となった今、この重要性をますます実感します。
自分のカラダのサインに敏感であることは、外の世界にも敏感になれるということ。
ここで「便秘」を挙げたのは、その一例です。
自分のカラダが便意というサインを出しているのに、鈍感になっていないかどうか、です。
なんとも、スピーチプレゼンとはかけ離れたことのように思えるかもしれません。
しかし、
自分の声がどのあたりまで届いているのか、
手の動きがどんなふうに見えているのか、
自分がイメージしているままにカラダは動いているだろうか、
こういった感覚を一切無視してしまっては、相手の感覚も察知することはできません。
コミュニケーションになりません。
本来ひとが持っているはずの「感覚」を、
そのままに感じ取れる力、それが「モニター能力」です。
自分より外の世界には、本当にノイズが多いですね。
排除できるものは出来るだけ排除し、感覚を研ぎすます。
話し手としての自分の「モニター能力」を
あらためていま、確認してみましょう。
森 裕喜子