いまだに、謎でしかない事実❗️
父が、自分の名前を、横にばらばらに書き始めた頃だったーー
一つの漢字が、分解して横に流れる〜
仮に、雲岳間吾と言う名前だとすると
雨 云 丘 山 門 日 五 口のように一つの漢字を、縦でなく横へと流してしまう〜〜
なんとも、奇妙な頭の構造が、現れだしたかと思っていると、
いつの日か、私の事も、どちらさん
と聞いてきたり、
奥さん、と呼ぶようになったりと、完全に認知症状が、現れだした時だったーー
その頃になると、歩行も小刻みでしか前に進めなくなり、数センチの段差も、手を貸さないと、またぐことができなくなっていた。
その為、ほとんどを、ベッドで過ごし、寝ない時は、ベッドの上に座って、私の用意する食事を待つという生活が主だった
紙おしめも使用していたが、それでも、ベッドのすぐ近くに置いているポータブルで、用を足す事だけは頑張ってくれていた
そんな状態であったから、
ある日の深夜に、父に起こった出来事は
あり得ない事だったーー
「うわーーーっ!あっ〜〜ひゃ〜」
まるで父が、何かに担ぎこまれているような、叫び声で、目を覚ました私は、
慌てて、父の部屋に駆け込んだーー
が、部屋は真っ暗で、電気をつけると、いつものように、寝ている様子で、布団が、こんもりと盛っていた。
なんだ、私が夢を見たみたいーーと思いながら、父の顔を除き込むと
父がいない❗️
又、キッチンで倒れているのかも
と、真っ暗だったキッチンの電気をつけて中を見回したが、そこにも居ない❗️
エェッ❗️ ともう一度、父の部屋を覗くも
何一つ乱れたものもなく、静まりかえっている。
父は何処⁇と、洗面所や、便所の廊下の電気をつけるが、きっちりと、戸が閉まっており、開けた気配もないーー
風呂場の戸もしっかり閉じられており、
真っ暗闇の中、段差だらけの、そんな場所に、今の父が行ける筈もなく
徘徊の心配があると、玄関に回った
しかし、鍵🔑は中からしっかり掛かっているし、鎖も閉まっている。
外には出ていないーーなら、父は何処
と、テーブルの下や、部屋の隅っこを探していると、
その時風呂場から、父の呻き声が聞こえ
「ええ〜っ」
と、風呂場の戸を開けると、
父が、湯船に、スッポリと入っている
のだーー
その時は、たまたま湯を抜いていたので、良かったが、
でも、どうしてそこに父が居るのか
真っ暗闇の中、まともに歩けない父が
数センチも上がらない足で、湯船などまたげるわけもないし、
何より、戸も開けずに、電気もつけずに
洗面器とか、シャンプーとか、腰掛けとか、そこに置いてあるものの何一つも乱さずに、
普通に、ゆったりと、浸かっている風で、
スッポリと入っている事など、あり得ない事だったーー
父に聞いても、何でこんなとこにワシ居てるんやと、逆に聞いてくる。
どう考えても、何かに担ぎこまれたとしか思えないのだ。
そんな、マジックのような事が出来るなんて、霊?ポルタガイスト?
今思い起こしても、あの時の父の叫びは、
何かに担ぎこまれて、瞬間移動させられた風にしか捉えられないーー
その後、足が上がらない父を、深い湯船から出すのに、どれほど苦心したかしれない‼️
認知症を発症すると、骨折した足でも、途方もない距離を歩いたり
僅かな時間で、遠方までの徘徊をしたりと
そんな話しはよく聞くが。
父のように、僅か数分で、一切の物に全く接する事もなく、扉や、戸すら開閉もせず
真っ暗闇の中、何一つにぶつかりもせず
湯船の中に、まっしぐらに、普通に浸かっている状態にあるーー
なんて、あり得ない
認知症の父が起こしたミステリーは、
今なお、謎のままなのです〜〜
(言葉の職業 ボイスAiK)