鬱 | my life is a question

私は高校二年生の冬から鬱病になった。
あの頃はそんな病名も知らなかったが、今思うとあの冬から私は変わってしまった。

きっかけはあるタレントさんに会った事だ。
友達がファンで、その影響で何となく気になっていた私は、写真集発売のサイン会についていった。

彼女は本当にかわいかった。
顔は驚くほどちいさく、眼は黒目ばかりでキラキラ輝いていた。
本当にお人形さんの様っだった。

私は彼女位に背が高いのだが、顔は小さい頃から人より大きいという事を気にしていた。
小学生の頃、自分自身気にとめていなかったが、痩せ型な子供だった。
よく、「縦ばかり伸びて、横に成長しないのね~」と
近所のおばさんや、親戚、ピアノの先生に言われていた。

しかし私は、中学生になり、高校生になり、成長と共に身体が女になっていった。
特にお尻は大きくなり、全体的にポチャッとした体型になった。

そのサイン会で彼女に会った事で、自分自身の醜さが嫌になった。
 痩せよう。
 痩せて少しでも彼女に近づきたい。

その日帰ってから「これが食いおさめ」言わんばかりに口いっぱいにミルクパンをほおばり、
次の日から私はダイエットを始めた。

毎日学校が終わってから、バイトに行き、遅くまで働いて、
帰っても食事をとらず、そのまま疲れて寝る、という毎日。
バイト中といえば、階段を使い、9階まで上がったり下ったりし、極力体を動かした。
とことん体を酷使した。

口にするものは栄養補助食品ばかり。
朝は納豆やヨーグルト、オールブランや野菜。
弁当も自分で作った。
母が作ると冷凍食品の揚げ物ばかりいれるからだ。
私は野菜ばかりを入れた。

そんな毎日を繰り返す度に私は私に完璧を求めていった。

授業中は授業を完璧に。
聞き逃したくない。
ノートを事細かにとるようになった。
お陰でどの教科も点数が上がった。

カロリーの計算が頭から離れない。
こんなけ動いた、これだけ食べた―…。

そうして生きる全ての事を計算し始めた。
時間、お金、人との関わりさえも。

明らかに栄養は足りていない。
しかし私が今までやってきた「頑張り」で、これだけしか食べていなくても、これだけ動ける様になったんだ、と思い込んでいた。

みるみる体は細くなっていく―

体重計には乗らなかった。
私の答えはまだ先だ、と気を引き締めていた。
体重がわかってしまうと、そこで終わってしまう気がした。

毎日充実した日を送ってる様な気がしていた。

しかし、私はどんどんとぼんやりするようになっていった。