Blogまたご無沙汰してしまいました。
なぜかnoteは続いてます!

https://note.com/natural_voice

 

近況です。
自粛期間中ですが、うちのスタジオも僕の仕事もほとんど入らなくなり、スタジオ経営はすでに困難になってます。
廃業をするつもりはないので、オンラインレッスンでなんとか仕事を続けていくつもりで頑張っています。


頭の中に構築した発声器官の取扱説明書は、不況になっても無くなることはないし、自分もそれなりの年齢になってしまったので、若手や後進の研究者による今後の更なる進化の為にも、持ってい理論や技術をこの時間のある機会にOPENにしていこうと思っています。
ただ、一般の歌いたい人にもわかりやすく書き換えるのは、自分の文章力を考えるとかなり難しい。

でも時間が許す限り続けて行こうと思っています。

 

というわけで、すでに経済的にはかなりの危機なのですが、今ある豊富な時間で文章を書いたり、動画編集の勉強をしたり、近未来のボイストレーニングを想定した新構想を考えたりという事ができて、毎日が不思議と心地よく過ごせています。

皆さんも大変な時期だと思いますが、みんなで感染に気をつけて、すぐに来てしまいそうな新時代に備え、明るい時代になるよう一緒に頑張っていけたら嬉しいです!

前回8は、声帯のコントロールを追求していた時期を書いていました。その過程で、筋肉連鎖(筋連鎖)の需要性に気がついて、その対応として、ナチュラルヴォイスストレッチ(NVストレッチ)を開発した事も書きました。

今回は、NVストレッチを開発した経緯がについて書いていきたいと思います。

 

実は、筋肉連鎖の需要性に気づくずっと前から、「筋反射」という、表現活動を理解するのにのとても重要な要素をテーマにして、発声学と身体学の研究をしていました。ここまでの研究遍歴ではほとんど書いてませんでしたが、実は裏の大きな研究課題として同時に進んでいました。アレクサンダーテクニークなどのボディーワークを勉強してきたのも同じ理由です。
「筋反射を制して体を自由に使うこと=自由な声の追求、そして自由歌唱」という事だと思いました。

 

僕がいう「筋反射」とは、分かりやすい例で言うと、熱いもが手に触れた時にさっと手を引っ込める、条件反射的な動きですが、もっと日常的に無意識に起こっている様々な反射を意味します。
「筋肉連鎖」と意味は近いですが、少しニュアンスが違っていて、例えば、緊張の原因を例に挙げると、「うまくやらないといけない、失敗したら不味い」という心の状態が、体の筋肉へ反射的に影響して、意図せずに余計な力を入れしまい、体の動きを悪くしてしまうわけです。
そのような筋肉への無意識の連鎖運動を僕は「筋反射」と呼んで、表現学のレベルで研究しているわけです。

 

筋肉連鎖(筋連鎖)の方は他にも、例えば、右腕を上げると右の肩甲骨の周りの筋肉や、右胸筋なども連鎖して動いたり、逆に左の肩甲骨や肋骨は少し下がることになる、など。一見すると腕を上げるのには必要がない部位のようでも、動かないと腕も上げにくかったり、力が入りすぎると動きの邪魔になったりする。このように、筋肉連鎖とは一つの動作に対して、複数の筋肉が連動して動く事を意味していて、発声や歌唱に関しても連鎖は常に沢山起っているわけです。

ここからやっとNVストレッチを開発した経緯です。
筋肉連鎖によって内喉頭筋や声帯をコントロールしていると気がついた時に、ではどのように連鎖しているのかがわかれば、繊細に声帯をコントロールする事ができるのではないかと思いたちました。
声帯を中心にして、その外側に筋肉連鎖がどのよいうに続いていくのかをチェックしていきました。
それで、声帯を中心に据えて体の動きを観察し、逆に体の動きから声帯にどんな影響が出るのかを観察しました。自分の体の動きを何度も内観をしました。
 

そうこうしている時期に、外のスクールの仕事でレッスン生の人数を増やしてほしいという依頼がありました。今まで多くて6〜8名くらいでやっていたグループレッスンを、倍の人数(12〜16名)でやってほしいとのこと。


ボイストレーニングをグループでやると、受講生のタイプがなかなか揃わないので、レッスンの効果にムラが出やすく、全員を上達させるのはかなり難しくなります。

歌唱レベルの差、体力の差、声のタイプ、性格や物事の捉え方や理解感覚の違いなどなど、いろいろ違う喉や体の個性を持つ人たちを同時に同じレッスンで誘導しないといけないわけです。(多少は個別に話せたとしても、基本は時間の限られたグループレッスンです。)

 

そこで、同じ誘導をしても効果が出る人と出にくい人について考察していきました。そして見つかったのは、やはり筋肉連鎖や筋反射の出方が人によって違っていると言う事です。冷静に考えれば当たり前のことですが。

 

そこでレッスンの誘導に対して、なるべく全員の体のマイナスの筋肉連鎖をなくしてからレッスンを始めることができれば、レッスン効果がほぼ全員に均一に現れるのではないかと考えたわけです。

 

そこで考えたのがストレッチの利用でした。例えば、りきみやすさは、体の硬さや筋肉の動きの鈍さからもきます(メンタルのレベルももちろんありますが、体のレベルだけでも違います。)
特に午前中のレッスンではそれが顕著に出ます。朝歌うより、夜歌う方が大抵の場合は明らかに声も出やすいわけです。

 

それまでもウォーミングアップメニューに筋トレやストレッチは入れてましたが、その頃から、より解剖学的なメニューを組むようになりました。

 

そして、初めの方でも書きましたが、声帯はその周りの筋肉と連動し、その周りの筋肉はまたその周りの筋肉と連動していて、またその筋肉もまたまたその周りの筋肉と連動してく、と言う具合に写真の図にあるように声帯を中心とした筋肉連鎖図を考えたわけです。

 

そして、その連鎖する筋肉をいっぺんにストレッチすることで、やっと声帯のストレッチをきれいにする事ができる、という事にたどり着きました。
 

それまでウォーミングアップで組んでいたストレッチとは、根本的に違う物なので、効力も違います。レッスンの効果にも人によるムラがかなりなくなり、

10人を超えるレッスンでも、今までの少人数のレッスンより効果が出せるようになりました。タイプの違う人の集まりにもかなり有効でした。

そうやって、NV(ナチュラルヴォイス)ストレッチは生まれました。

 

まとめると、NVストレッチによって、全員が声の出しやすい体質にする事ができるので、その状態から通常のレッスンを始められれば、全員に対して行うアドバイスも、全員に同じような効果を出してくれる訳です。


今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。次回も是非よろしくお願い致します!