「私頑張ってるんです。
わたし特別なんです。
認めてくれますか?
スゴイですよね?」

「え」



「先生、スゴイ人ですよね?
イタリアで活躍されてて、実績すごいですもんね。
スゴイ人から認めてもらえれば、自分がすごい人になれる気がするんです。
わたし、人より頑張ってるんです。
しかも、前世で女王様だったんです。
レムリアでアトランティスでムーなんです! 
さらに、ライトワーカーなんです。
日本中に私を褒めてくれる人がいるんです。
おまけに私、なんと大天使の声が聞こえるんです!
すごいでしょ??
特殊な能力を与えられてるんです!」

「は」




「周りの、スピリチュアルなものに気づかない哀れな人たちがかわいそうなんです。
私のように優れた次元の高い魂と違って、他人は幼いんです未熟なんです。
私は高次元でおまけに美人で優秀で感性豊かなんです! 
さらに自由でポジティブでアクティブでクリエイティブなんです。
認めてくれますか? 
認めてくれますよね!」

「・・・」


「相川先生、目が白目になってますよ!?
大丈夫ですか??」

「・・・」



「体調悪いんですか?」
「そうだね、すさまじい自己アピールと、果てしない我の強さに呆れていただけだよ」



「・・・え??私ですか??
いえいえいえ、それはないですよ!
私は私を愛してます!
自己肯定感が高いんです!
自己重要感を感じてるんです!
おまけに我欲はありません!
しかもさらに高みを目指してチャレンジしてるんです!
宇宙の平和のために日夜バイブレーションなんです!」

「お疲れとしかいえんな・・・」



「ちょっと待ってください、先生、わたしのどこが自己アピールなんですか??」
「やれやれだな」



「・・・」

「認めてほしいとなぜ連呼するのか。
なぜエラい人に認めてもらおうと連呼するのか。
ホンモノなら他人に認めてもらう必要なぞないだろうが。
そんな当たり前のことにも気づかぬのか」




「・・・わたし、こんなにがんばってきたのに認めてもらえないんでしょうか」

「いい加減その発想を捨てろよ。
いい加減、その他人軸の人生をやめろ。
だいたい、天使だの神の声だって?
自分の魂の声すら聞いていないのに、どうして神の声をおろせるのか。
自分と向き合うことなくしてホンモノにはなれぬわ」



「・・・」

「おまけに我欲まみれだ。
なんだそのゆがんだちっぽけなプライドは?
無価値なんだよ。今すぐ捨てろ」



「私、プライド高いですか?」
「歪んでおるわ。どうせ私なんてっていう諦めの声が聞こえるな。
なぜ等身大の自分を愛さないのか。理解できんな」



「・・・どうするといいのでしょうか?」

バカタレが。
そもそもそうやって他人に自分の軸をまかせようとする無責任さが原因なことに気づけよ。
そんなだからインチキ教祖に騙されて振り回されてきたのだろうが。
少しは自分で考えよ」



「・・・わかりません」

「だろうね。とりあえず今、一歩前進だな。
無知を知るものは賢いってねbyプラトン」


「・・・ぷらとん?」
「独り言である」





大和心は謙虚な心。

自分の至らなさを自覚して、日々、己を磨く心。

志に誠実であるために、日々研鑽。日々、新しい自分に出会い、小さなことに感動するやわらかな心。