ヘルマンヘッセの車輪の下を読んだら、なんだか今のニッポン人っぽいお話しだった!


話の結末が途中から暗示されていて、やっぱりそうなっちゃうのか・・・

と読み終えた時に感じる悲劇感!

すてきな文体だ。

ホーマーはじめ古代ギリシア・ローマの古典からの引用が多数、

さらに古代から近世にかけてのヨーロッパ史の話が散りばめられ、

その中にドイツの片田舎の田園風景と庶民たちの穏やかな日常が描写される。

対比され描かれるのは、都会の厳しい学校生活と、穏やかな田舎の暮らし。

その中で、繊細で真面目な主人公ハンスくんがどんなふうに感じ、考え、行動するか。

主題となるのは「心の自由」と解釈した。

この小説が村上春樹氏の「ノルウェイの森」の中で、早稲田の学生寮のシーンにて引用されるのだが、その意味が16年越しにようやくわかって笑った😅

「ノルウェイの森」でも、「車輪の下」のように学生寮の描写と、教室、それから自然豊かなサナトリウムの様子が描写されるから。

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
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ヘッセといえば、10年ほど前に彼の詩集を朗読させてもらったことがあるけれど、

スイスにゆかりのある方だけに、本当に自然の描写が上手い!

まるで映像を見ているかのようだ。

エリートコースから挫折して、田舎町の慣れない職人仕事をしはじめたおり、

慣れないお酒に泥酔して川に落ちて死んでしまう主人公。

ピュアでいい子だったから起きた悲劇。

登場人物と舞台名だけニッポン語にすればそのまま日本作品になっちゃいそうである。

物語の後半で、挫折して故郷に帰ったハンスくんをドッキンドッキンかき回す女の子エンマ!

繊細で感じやすいピュアなハンスくんがタジタジになる様子は、現代日本の若者文化における『ポンコツ』みたいである。

東北の宮沢賢治さんもものすごく繊細で知的でピュアな人だったようだけれど、そこも合い通じるものを感じる。

いろいろ書いたけれど、とても読みやすい話だった。

ドイツの片田舎に旅行する感覚でぜひ読んでみてもらいたい!