あなたはTEDをご存知だろうか??
私はさっき初めてビデオを見た・・・
興味ないからだ。
というと、きっと、声や話し方、あるいはビジネススキルに関心の高い人々はいうだろう。
「当然知ってますよ!ビジネス書でも話題になってますし、スピーチ・プレゼンテーションの分野では世界を代表する非営利団体ですよ!!」
と。
ラリーペイジ、ビルゲイツ、スティーブ・ジョブス、ゴア、、
世界各地の人々が、自分ならではの方法ではなく、TED流のやり方に従ってプレゼンテーションを繰り広げていく。
アップルのキーノートやマイクロソフトのパワーポイント、あるいはより専門的に特化されたソフトウェアを駆使して。
これが恐らく、普通の人が信じる、スマートで知的でカッコいいプレゼンテーションなのだろう。
一流大学の学生や、それを卒業して、誰もが羨む上場企業に就職したサラリーマンたちは、それを学び自分のものにしようとするのだろう。
はっきり言おう。
アホくさい・・・
私は声の専門家である。
だから、このようなプレゼンテーションは、特に19歳から22歳の間に散々見てきたのだよ。
早稲田ではビルゲイツさんがいらして講演をされるのを間近で見た。
安倍氏首相が国際フォーラムで講演されて、直接手を挙げて質問したこともあった。
世界的に有名なアメリカの企業で長年トップの成績を残す日本人の方のプレゼンテーションや、日本のどこにでも出店している某書店のプロデューサーさんのプレゼンもそんな感じだった。
空虚だ。
心に響くものがない。
スキルはそこにある真実に勝ることは決してない。
プレゼンの世界の神様のように崇められている故スティーブ・ジョブス氏は、確かにプレゼンの達人であったろう。
聴衆は感動に包まれる。
だが、それは、世界を変えたいという彼の情熱に感化されたからである。
熱。
熱は、心の内側から湧き上がってくるパワーのようなものだ。
どうしたいか、何を実現したいのか。
その想いが熱に変わる。
パワポやキーノートは、その情熱を視覚にかえるための手段にすぎない。
それよりももっとダイレクトに、あなたの情熱が変換されるツールがある。
それが『声』である。
人間は生まれた瞬間に大きな声を発する。
生まれた!!
そのことを世界に宣言するために。
ほっとかれたら死ぬ!! 構ってくれ!!
そう、全身全霊でアピールするのだ。
生きるための情熱!!
子供もまた同じである。
悲しい!悔しい!痛い!さみしい!!
その想いを全力で声に乗せて宣言する!!
一目瞭然のメッセージが声に込められているではないか。
だいたい、スピーチの原則をご存知であろうか。
1スピーチ1メッセージ。
つまり、一つのプレゼンで一つのメッセージのみ伝えることがもっとも効果的であるということだ。
だから、世界中のあらゆる企業の広報担当者は『この商品のメッセージは何か??』について徹底的にリサーチ・マーケティングし議論するのである。
ましてや情報が氾濫し、懸念せねばならないことが多岐にわたる都会の現代人にとって、高度で複雑で多数のメッセージを一つのプレゼンから読み取るなんてただ疲れるだけだろう。
パチンコでボケーーっと画面を眺めている田舎のおじさんたちの姿がその答えだ。
だいたい、疲れることを我慢して、おまけに仕事でもないアフター6や休日にそんなストレスでしかないTEDの類なぞ見るなんて頭が狂っているのだ。
歴史的に見てもこれは明白なことだ。
パンとサーカス、という言葉をご存知だろうか??
キャッチーだ。
古代ローマ帝国を揶揄する言葉として有名なラテン語の言葉である。
パンというのはつまり小麦粉の無料配布法レックスフルメンティアを暗示していて、社会的困窮者への福祉だ。
カエサル、カリグラ、ネロ、ハドリアヌス皇帝、、、
史上有名な演説や手紙を見ていると、現代でも引用される言葉は短い格言のようなものばかりだ。
例えばタキトゥスが残した「アヌス・ホリビリス(最悪の年)」やカエサルの「ヴェニ・ヴェディ・ヴィチ(きた見た勝った)」など。
短い。
キャッチーだ。
わかりやすい。
「頭がいい人ほど、バカでもわかる表現ができる」
全くその通りではないか。
知能や高等教育の有無と関係なく、シカやペンギンのような動物でも肌で理解できるプレゼンがある。
それが、声だ。
例えば、ナショナルジオグラフィックによる、このシカの記事を読んで見てもらいたい。
『発情期のエルクが放つ「悪魔の声」の謎が解けた2種類の声を組み合わせ、近くと遠くへ同時にアピール』
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/042200150/
要約すると、オスのシカたちは声によってメスに対してアピールしているということだ。
哺乳類や鳥類の多くは声によるコミュニケーションを用いている。
声というのは、声帯と骨格によって大きく変わるから、声そのものでその動物がどのような動物かがわかるのだ。
人間の幼児たちを見ると一目瞭然。
保育園や幼稚園の先生に低音の男性ヴォイスで接しても警戒されるのがオチだ。
それは、本能で、大人のオスは危険だと察知しているからであろう。
以前、AV男優の方から声についての話を聞いたことがあるが、その方曰く、女性の子宮に働きかける低音を出すために、撮影の前にタバコをふかして声を曇らせるのだとか。
効果は謎だが・・・
経験則なのだろう。
頭で理解するよりも、肌で感じ取ることの方がはるかに相手に与える印象は強く大きい。
プレゼンを上達しようと思う人々よ!!
スキルよりもまずは声を磨くのだ!!
自分本来の声を。
高い低い関係なく、自分らしい響きをまず見つけることだ。
それは、自分の才能と向き合うことに他ならない。
最高の自分探しがボイトレなのである。
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