契約に必要な情報収集と経験を得るために | VOGEL企業法務NEWS(弁護士西山宏昭)

契約に必要な情報収集と経験を得るために

先日、とある弁護士が個人の方の刑事弁護と自己破産の着手金として云百万円を請求し、ご家族が金策に奔走したという話をお聞きしました。僕の感覚の2倍から3倍の金額でした。その金額が間違っているとか、逆に自分ももっと頂かなければ、という話ではありません。その方とご家族は、どれくらいの着手金なら引き受けてくれる弁護士がいるのかをご存知なかったのでしょう。あるいは、その金額が高いのでは?とか、その金額の根拠を聞いてみよう、とか、他の弁護士はどうだろうか?と考える情報や経験がなかったのではないかと考えます。その方を責めることはできません。我々弁護士は、常に正確で具体的な情報を誠実に提供しなければなりません。その弁護士はどうだったんでしょうね。

今日、消費者と事業者との契約は、消費者契約法で消費者が保護されています。情報と経験の格差による不利益から消費者を守ろうという法律があります。しかし、法律があるからといって、一旦不利な契約をしてしまった場合に救済を受けられるかは確実ではありません。交渉や訴訟を経ても、あるべき解決に辿り着かない場合もあります。そうすると、やはり未然の対策が必要だということになります。

1万円の契約と1000万円の契約とでは、懐事情へのインパクトが違いますよね。いや、人生に影響するかもしれません。契約によって重要性は変わってきます。重要な契約をするときは、やはり勉強して情報を集め、プロに助言を求めて経験を埋めることが必要です。

実は事業者同士の契約でも同じです。情報収集とプロの助言は必要です。1000万円の契約をしてシステム開発を委託したがイメージ通りのものが仕上がらないといった場合、解決策を見いだすため契約書を確認することになります。しかし、情報収集とプロの助言のない契約は、もしかしたら、穴が多いかもしれません。そのときに獲得したい解決策を獲得できないような契約になっているかもしれないのです。

個人の方は是非法律相談を、事業者の方は是非顧問契約をお願いします。(笑)