~月が夜空を裏切った時~
第0章 プロローグ
今年の春、俺達のクラスに双子の兄弟が入って来た。
襟足が少し長い黒髪、高校生にしてはちょっと大きな双眸。
男子とは思えない色白な肌。
「なんて綺麗に整った顔なんだろう。」と、誰もが一瞬見惚れてしまうに違いがない。
一人の人間が鏡映しになっているかの如く、瓜二つな双子。
朝のHRが終わるなり、クラスの連中に「そっくりだね」と言われた双子は、互いに口を揃えてこう言った。
「「僕たちは確かに双子だけれど、同じ存在じゃない。僕たち双子は、似て非なる存在」」
わかりきっていることを言われただけなのに、連中は一気に静まりかえってしまった。
「僕は彗斗…よろしくね」
「俺は圭斗…よろしくね」
同じ口調、同じ声音、同じ笑顔。
なのに、何故かどこか小さな境界線で互いに分かれているような雰囲気が感じられた。
「あー、お前等、取り敢えずそろそろチャイム鳴るから散りやがれ」
蹴散らすように言い放つと、クラスはいつものようにばらついた騒音を取り戻し出した。
「よかった…正直質問攻めは苦手だったから」
「助かった。有り難う」
双子の感謝の言葉に少し気を良くした俺は、ノリで放課後校内を案内してやると言ってしまった。
この時俺はまだ知らなかった。この双子に関わることによって、
日常が壊れてしまうことなんて。
第0章 プロローグ
今年の春、俺達のクラスに双子の兄弟が入って来た。
襟足が少し長い黒髪、高校生にしてはちょっと大きな双眸。
男子とは思えない色白な肌。
「なんて綺麗に整った顔なんだろう。」と、誰もが一瞬見惚れてしまうに違いがない。
一人の人間が鏡映しになっているかの如く、瓜二つな双子。
朝のHRが終わるなり、クラスの連中に「そっくりだね」と言われた双子は、互いに口を揃えてこう言った。
「「僕たちは確かに双子だけれど、同じ存在じゃない。僕たち双子は、似て非なる存在」」
わかりきっていることを言われただけなのに、連中は一気に静まりかえってしまった。
「僕は彗斗…よろしくね」
「俺は圭斗…よろしくね」
同じ口調、同じ声音、同じ笑顔。
なのに、何故かどこか小さな境界線で互いに分かれているような雰囲気が感じられた。
「あー、お前等、取り敢えずそろそろチャイム鳴るから散りやがれ」
蹴散らすように言い放つと、クラスはいつものようにばらついた騒音を取り戻し出した。
「よかった…正直質問攻めは苦手だったから」
「助かった。有り難う」
双子の感謝の言葉に少し気を良くした俺は、ノリで放課後校内を案内してやると言ってしまった。
この時俺はまだ知らなかった。この双子に関わることによって、
日常が壊れてしまうことなんて。