テノールの仕事は、高い音をきちんと歌うことですが、それがなかなかうまくいかず、苦労する方はたくさんいらっしゃいます。
草間もそうでしたし、今もずっと勉強や練習を続けています。
とはいえ、
高音を出すために必要な手順というのは実はもう明確にわかっています。
それは、
きちんと「裏声を発達させること」なのです。
「決して裏声のようなかよわい声を出したいわけではないのだが…?」
と思われるかもしれませんが、
力強い高音や安定性においても裏声がとても重要な役割を担っているのです。
声というのは、
地声と裏声がほぼ常にブレンドされた状態です。
あまり知られていませんが、低い音域にも裏声の要素が混ざっているのが普通なのです。
そして、
高い音になるにつれて、裏声のブレンドの割合は高まっていかなくてはなりません。
それを容易にできるようにするためには、きちんと裏声を訓練していく必要があるのですが、普段は裏声を出すことがないので、衰えてしまっている場合が多いのです。
ゆえに!
ほとんどのテノールは高音に困ってしまうわけですね。
裏声を発達させるには当然、裏声を出すことが大事なのですが、
裏声のための筋肉と神経を効率よく刺激していけるかどうかで、成長の速度が変わってくるというわけですね。
そのためには、「純粋な裏声」(ピュアファルセット)といわれるものを理解しておくといいと思うので、ここでご紹介してみたいと思います^_^
ピュアファルセットは、
「芯のない裏声」です。(ここ大事!)
ひとえに裏声を出すといっても、
いくつかの音色が出せるものなんです。
例えば、
サッカーの試合で得点が決まったときとか、ライブで盛り上がった時とか、友達の誕生日を祝うときなんかに出すような「フゥーー!!」という声。
代表的な裏声のイメージですよね。
ただあれは、「芯のある裏声」なんです。
もちろんそのような声も練習に取り入れてもいいのですが、裏声を発達させるにはもっと「芯のない裏声」というのをイメージしていかなくてはなりません。
どんな声かというと…
フクロウの「ホー…ホー…」という鳴き声を想像してみてください。
そのような静かでふんわりした音質が、ピュアファルセットです。
あるいは、
瓶の口の部分に息を吹いて「フォ〜ン」という音を出したことがあると思うのですが、
あれもピュアファルセットの音の例としてよく用いられます。
あの「フォ〜ン」という音を裏声で真似してみると、ピュアファルセットに近い音質になりやすいのです。
どちらの音質も想像しながら裏声を出してみてください。
普段の喋る感覚と比べて、息がよく流れているような感覚であればバッチリです!
しっかり深呼吸しながらやるのもとてもいいと思います。
よく吸ってから、芯のない声を出してみてください。
そうすると、裏声が鍛えられていき、
裏声のブレンドがされやすくなるので、高音が出しやすく、安定したものになっていきます!