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アンドリュー・ワイエス「鷹の木」1973年 ドライブラッシュ、紙 53.3x72.4cm 成田ゴルフクラブ蔵
1917年ペンシルヴェニア州チャッズ・フィードの自宅で生まれる。現在91歳


目から脳を通り手に伝わる

もう終わってしまったのですが、前回のブログに続き、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「アンドリュー・ワイエス 創造の道程(みち)」の作品を取りあげます。

この展覧会で、ワイエスの習作から完成作を並べて展示してたのですが、上の作品はドライブラッシュ技法で描かれています。

ワイエスの完成作はテンペラで描いた作品とドライブラッシュの二種類の作品があります。

どちらも魅力的なのですが、テンペラで描いた作品は細部まで描きすぎて、背景が煩く重たい感じがしますが、ドライブラッシュで描かれた作品は細かく描かれてはいるのですが背景などがさらっと描かれていて、どちらかと言うとドライブラッシュの作品の方が好みです。

     https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/d2/43/haru21012000/folder/236287/img_236287_57053651_3?1230520884.jpg
《鷹の木》習作 1973年 鉛筆、紙 27.6x35.2cm ワイエス夫妻蔵


上の作品が習作ですが、完成作は習作の影と殆ど同じなので、この習作を基にアトリエで描いたのでしょう。

習作では細かい枝や背景が描かれていませんが、完成作には背景も枝も描かれています。

ワイエスは写真のように正確に描いているのではなく、目で見た対象を脳を通してイメージを作り上げ描いています。

ワイエスは、この少ししか描かれていない習作から、これほど正確で緻密な作品を描くのですから、技術もさることながらイメージの豊かさと正確さには驚かされるし、やはりそこまで描けないと、現代の写実画では生き残れないのでしょう。

単に写すのではなく、ワイエスの心を通して作品にしているので、見る人を引き付けるのでしょう。