菅原孝之 「土の採取」 土 ビニール袋 5000wx5000dx500h (撮影
佐々木悦弘)
佐々木悦弘)
自然の中の現代美術
先日、埼玉県上尾の「黒須植物園」で開かれていた『ボタニカルミュージアム2008(自然の中の現代美術inSAITAMA』5回展を観て来ました。
私のブログでは、今まで平面に描かれた絵画作品を主に見てきましたが、そこでは、作家は画面の云う限られた空間の中で思考し表現してきました。
先日見た『ボタニカルミュージアム2008(自然の中の現代美術inSAITAMA』展では、15人の現代美術作家は野外に出て(土、木、空、空気、季節、天気、虫、鳥、風の音、時間)など刻々と移り変わる自然の中で、それぞれの思い思いの発想のもと、自由に自分がイメージする素材を使い、自然と向き合い、あるいは溶け込み、自己の可能性を模索し、各々の個性の塊の痕跡を残すように、自然の中に置いてる。
鑑賞者である私は、自然の中で作家の作品を見るとともに、樹木に張り付く幾何学模様のくもの巣を見、地面にはモグラの掘った後を見つけ、突然の白鷺の飛び立つ音に驚き、陰り行く日を気にし、寒さを堪え、鑑賞者である私も作品の一部と化してそこに存在する。
上の作品、菅原孝之氏と秋葉ミキノ氏とは友人で長いお付き合いをさせていただいてるのですが、彼らの作品を長く見ていて、今回の作品もそうですが、作品にぶれが無く強固な意志と情熱を持って作品を発表し続け、彼らのことは少しは分かる私としては、今回の作品を見て「やはり作品は嘘をつかない」と確信し、それぞれの個性が移り行く自然の中で作品に反映している。
よく現代美術は難しいと言いますが、絵画とは素材や環境や表現方法が違えど基本は同じ。
作家は作品を通して自己を表現し、鑑賞者は作品を通して作家を見る。
作家は作品を通して自己を表現し、鑑賞者は作品を通して作家を見る。