「あちらの音楽は基本外国語なんです。これからあなたは外国語を学ぶんです」とレッスンで必ず申し上げます。それはヴァイオリンという楽器が、裏板の隅々まで鳴りきるようにするのが、まず条件の第一だからです。
ところでそういう響きを求めるには、音の発声にザラつきや雑味をたくさん混ぜなくてはなりません。
日常生活で日本語の母音に縛られているとアタマで理解出来ても、生まれた時からの聴覚のバイアスはすぐには変えられません。バイアスはとても低いところに設定されているために、どうしても音の輪郭や立ち上がりにキレがありません。(聴覚のバイアス=周波数特性)
そういう場合はまずリズムから、身体感覚の認知と修正そして体得に入ります。
わたしは和歌披講(和歌を歌う)を学びました。
披講では仙骨を後傾させて椎骨(背骨)を引き落とし、腰椎を骨盤に収めて背中がやや丸まると、母音が喉の奥でよく響きます。西洋音楽の発声とは逆です。
そして音と音を子音ではなく「母音で結ぶ」のが日本語の特性です。これは手拍子を打つと、よくわかります。
クラッシック音楽を学んだとしても、日本人なら民謡の合いの手をみんな上手く打てるでしょう。そのとき手のひらを打ち合わせている時間が長く間伸びします。つまり跳ねて落ちるのではない、重力方向に沈んで上がる運動性が日本語にはあり、それはまた日本人の身体感覚なのです。
このようにクラッシック音楽を学ぶ上で、全身の繋がりを認識し、もとから在るものを否定することなく、自らの身体性に気づき見い出し身につけていくのが、新しい言語としての音楽の習得に欠かせないと、わたしは考えています♪
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