「薫、予選通過だって。おめでとう。」シャルルは見ていたノート型パのパソコンを閉じた。
「知っていたのか⁉︎兄貴の弟子が最終予選に残っていて、兄貴がこの場にいるって。」薫は応えようともせずシャルルの前に呆然と立ち尽くしていた。
「さっき,兄貴に会ったんだ。愛弟子が兄貴に抱き合っていた。セシル・デュラン、17歳の少女だ。参ったよ。」薫が目にしたのは最終予選の演奏を終えた17歳の少女セシルが無邪気に薫の兄、巽に駆け寄り抱きつきにいっていたのを巽がしっかりと受け止めているという光景だった。
「ここは日本じゃない。」シャルルは軽く頷きながらたかが抱擁ぐらいで騒ぐなと言わんばかりに涼しい顔をして紅茶を注いだ。
「ガイからの差し入れの紅茶だ。まずは一息つけよ。」