Youtubeで一日遅れて演奏を聞きました。グランプリは尾城 杏奈さんでした。審査基準とか知らないので順位予想はしてませんでしたが、予選から一番好みの演奏を聞かせてくれていた演奏家です。
 ファイナルのラフマニノフピアノ協奏曲3番、簡単に言うとメリハリを適切にきかせた演奏だったとおもいます。音量の意味でのダイナミック(レンジが広い)(な)演奏だったとおもうのです。聞き手の心(頭)を、(時間的な)高解像度のメリハリがきいたタッチが刺激してきたと表現できるかもしれません。少し細かく言うとタメのきかせ方が多様でタメの幅と音量の組み合わせが絶妙で印象に強く残りました。
 これらの結果ラフマニノフらしさが一層きわだった、新しく進化したラフマニノフがきけました。こんなことを可能にするには座学を相当きちっとしていないとできないのではないでしょうか。
 他の演奏者と比べて一番知性を感じられる演奏だったと思います。知性を元にそれを情感として練り上げ、表現して伝える、そうしたいという彼女の強い意志も伝わってきました。知・情・意が別々ではなく一体化された演奏になっていたと思います。

 また指揮者やオーケストラとのアイコンタクトをしっかりしているのがみてとれます。時には数秒間指揮者の方をずっと見ながら演奏するところもありました。オーケストラとの連携を意識し曲全体としていい演奏にしようという考えがよくわかります。
 森本さんが銀賞というのも納得です。力強いタッチでした。演奏のごく初期部分は、音の粒がきれいにわかれて聞こえここが一番印象に残りました。しかし残念ながら演奏が進むにつれ雑さが目立ってきました。音が濁っている部分が多くでて来ましたが、これはミスタッチから来るのでしょう。また、尾城さんに比べるとメリハリが少ないという意味でダイナミックさがなく、単調さが気になりました。3,4位はすいませんがあまり印象に残りませんでした。コンサートに通っているとときどき聞けるいい演奏という感じです。
 尾城さんは銀賞以下がひとかたまりに見えるぐらい別物の演奏でした。コンサートにいって今まで生きて来てよかったと思え、一日中幸せな気分に浸れる演奏と同じレベルです。

 Youtube のコメント欄を見ると人気的には自分の評価と全く異なるのが面白いところです。他の人と違う感覚を持てているということはむしろ喜ばしいことです。でも順位をみると、審査員と感覚、価値基準が同じということなのでちょっとつまらないともいえます。
でも安心はできます。今後もいい音楽を聴けるということを意味するので。