再インストール
匂い、は時にすごい効力を発揮する。
人間にとって『匂い』は、
それに関係する記憶に直結するのだとか。
香りの記憶。
記憶の香り。
その香りに記憶があるのか、
それとも記憶の方に、その香りが擦り込まれているのか。
どっちでしょう。
さてさて。
少し前まで桜だ花見だ、と言っていたと思ったら。
いつの間にか花は散ってしまって、
日は長くなり、
冬物の服を片付けて、
気分はすっかり初夏気分。
既に街の随所で稼動し始めている冷房器具たち。
特に、クーラーのあの何とも言えない冷たくて湿った匂い。
その黴っぽい冷たい風を肌に受けた時、
わたしの頭に最初に浮かんだ言葉は
「あー。懐かしい」
・・・でした。
涼しい、ではなくて(笑)
その匂いを嗅いだ瞬間に、
去年までの夏の出来事が ぶわっ と頭を通り抜けていった気がした。
数年分の夏の記憶を、頭に再インストール。
先日、Tさんの車に乗り込むと。
クーラーをONにしている車内。
あの新車特有の匂いと、
冷たい空気の匂いが混じっていて、
その匂いを感じたら、
初めてTさんと会った頃を思い出した。
あの頃の、
風景とか、話題とか、一緒に食べた物とか。
色だったり音だったり。
断片的に、けれど鮮明に蘇る。
もうすぐ、出会って一年。
同じ季節がやってくる。