「シラノ・ド・ベルジュラック」を観劇しました。

 

シラノと言えば、大きな鼻に白い羽根のついた帽子が印象的ですが、本公演には登場しません。

2019年から2020年にロンドンで上演されたマーティン・クリンプ脚色版での上演。

ラップやボイスパーカッションを使い、最低限のセット、現代の衣装と、これまでとは全く別物です。

 

舞台は17世紀のフランス。

文才と剣の腕前に恵まれているものの、大きな鼻のために自信の持てない騎士シラノ。

思いを寄せるロクサーヌからクリスチャンとの恋の仲立ちを頼まれたシラノは、ロクサーヌへのラブレターを代筆し。。。。。

 

私は未見ですが、クリンプ脚色版は映画としてみることが可能です。

 

 

予告編の映像からは、とても無機質な印象でした。

日本版は谷賢一さんの演出により、背景に演じているキャストの映像が流れるという演出が追加されていました。

 

どこまでが日本版の演出か、確かなことはわからないのですが、気になった点と言えば。。。

 

セットを最低限にし、観客の想像力に任される余白があるのは大好きです。

今回は、会話をするシーンで至近距離にいても客席に向かって語り掛ける時と、お互いを見つめ合って話し合うことがあり。

客席に向かって語り掛けるのはシラノが多かったように思います。

それは彼の孤独感、人との距離をあらわしているのかな。

その違い、意図までくみ取れたらもっと楽しめただろうな。。。。。。

 

一番印象に残ったのは、シラノが愛を語るバルコニーのシーン。

クリスチャンに代わり、バルコニーの下からロクサーヌヘ愛を語ります。

 

客席に向かって愛の言葉を切々と発するシラノ。

バックにはピアノの調べ。

と、ほんの3語だけがメロディに乗る瞬間が。。。。。

その時、私の心臓がどくんと跳ね上がりました。

シラノの言葉が調べとなった瞬間。

美しかった。。。。

 

語り続ける途中で、ほんの3語。

 

 

ぼくは~♪

 

きみの~♪

 

きみが~♪

 

全てを歌にしてほしいような、ほしくないような。。。。

 

パンフレットにはこの愛の調べがすべて掲載されています。

やはり、文字としてみるのと、視覚と聴覚から受け取るものは違いますね。

どちらがいい、悪いではなく。

 

ピアノは大好きなかみむら周平さん。

イキウメでお馴染みです。

ピアノの調べに古川雄大さんの声がのるという奇跡!

 

かみむらさんのビアノ+演劇は、もう反則レベルに美しい!

心が一瞬で持っていかれてしまいます。

 

詩人シラノの物語ですから、膨大なセリフ、言葉、ことば。

けれど、流れることなく、しっかりとこちらの心に言葉を届けてくださった古川さん。

新たな面を見られて良かったです。

 

この日はアフタートークがありました。

心に残っているセリフは?との問いに、この愛を語るシーンとおっしゃった古川さん。

 

当初、この長いセリフをどのように伝えたらいいかわからなかった。

谷さんから「僕に空を説明して」と言われ「「青くて、広くて」と言ったら「僕は色はわからない」

といわれ、どうすればいいんだ、とおたおたしてしまって(ニュアンス)。

すると、それでいいんだ、と言われて腑に落ちた。

 

ことばにできない気持ち。。。。。

 

章平さんとの共演も嬉しかったです。

アフタートークでの発言からも、しっかりと台本を読みこまれていることが感じられ、素晴らしい俳優さんだなあ、との感を新たにしました。

 

 

シラノのようにうまく気持ちを言葉にできず、もどかしく拙いこと甚だしいですが、お付き合いいただきありがとうございます。

 

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