2023年2/11【619】good 難易度3

事故物件住みます芸人・松原タニシの怪談本第三弾。
 



2016年、松原氏はこう予言されたと言う。
「事故物件に住み続けたことで5年以内にすべてを失う」と。
2021年、彼はどうなったのか。
わくわくしながら待ちに待った本書である。


その予言を敢えて上手い具合に解釈すればこうなるのかもしれない。
「彼はそれまでの『霊や恐怖』に対する感情をすべて失い、新しい価値観へたどり着いた」と。

事故物件(孤独死、他殺死、等々)に住むようになって10年。
死、殺意、無念、孤独、怨恨、その事実と感情が残り続ける場所。
ここまで徹底的にそれに向き合い続けるとこうなるのか!と驚いてしまった。


コロナ禍で自宅待機を余儀なくされたとき、霊の微かな存在感(?)が安心感となる。

せっかくご紹介いただいた事故物件が条件に合わず泣く泣く辞退。
そこの霊とのご縁(?)が得られなかったことを残念に思う。

何かが『ある』亡くなったお婆ちゃん家。だけど、それがあるからこそ、ずっとみんなが忘れないお婆ちゃんの存在。
本当に恐いのは、存在自体を忘れられてしまうことなのだから。


なんというか、恐怖とか気持ち悪いとか、それを超越して『霊(?)』を一個の存在として認識し尊重するその感覚よ、なかなか斬新ではないか。


そもそも霊現象なんて本当に存在するのだろうか。
たくさんの人間がいて、そのたくさんの人も、いずれ死ぬ。
それは自然の摂理なのだ。

生き物が死んで、発見が遅れ、床が血まみれ体液まみれ。
それがどうした。
それはただの痕跡、ただそれだけ。

朽ちた生き物はその後腐敗し虫に食べられやがて土に還る。人間もしかり。
それが自然界では普通のことであり、火葬や埋葬といった行為の方が異常なのである。


そうきたか…。
タニシ、悟ってるなぁ。


怖い話的には「間取りも事故物件も、全然関係ないじゃん」というような単なる不気味な話の寄せ集めで、本当の話か作り話なのかもよくわからず暇潰しにちょうど良い程度の内容だったのが正直期待はずれではあった。

が、この松原氏の悟りに関しては一読の価値があったように思う。


辛く苦しいことがあれば霊のせいにしちゃえばいい。
私は悪くない、それで私が救われるのなら、それでいい。

世の中すべて、霊の存在も活用方法も、自分の考え方次第なんだなぁとつくづく思った。


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