2023年2/5【617】good 難易度4

フランク・ゲーリーを初めて知ったのはダヴィンチコードシリーズのダン・ブラウン【オリジン】を読んだときだ。
 


スペインはビルバオのグッゲンハイム美術館。
そこから繰り広げられる「我々は何処から来て何処へ行くのか」の物語。

美術館が実在のものと知りググってみて驚いた。
なんなの、この建物!?

建築家フランク・ゲーリー。
その奇想天外な建物は、私にはどうしてもただの無機質なオブジェにしか見えない。
確かに度肝を抜かれる。
強烈すぎる個性に目が釘付けになる。

だけど正直言って
「無駄に建築費が高そうだし、おもいっきり使い勝手が悪そう~~!!」


本書はフランク・ゲーリーとインタビュアーとの対談をまとめたもの。
ゲーリー御歳94歳、彼の生い立ちから生涯を振り返る。なぜ彼はこのような建築をするに至ったのだろう。


一体どれだけの偏屈者でどれだけの権力者なのかと思っていた。
読んでわかった。
何事も、表面だけをみていてはいけないねぇ。

立派な建物を建てたいクライアント。
その建物を実際に使う人々。
そして、建築家。
そこに絡むお金や納期に見栄や人間関係。
三者三様の思いがあって、大人の事情が絡んできて、一概に「(本人自ら卑下して曰く)ゲーリーは斜に構えて世の中をおちょくっていて、エゴの塊」なんて言っちゃダメだなと思った。


多くの人が定年に差し掛かるころにようやく認められる世界的建築家という職業。
その作品が強烈すぎるほどそれを求められはする一方で、二番煎じを嫌がるクライアント。
建てたあとに発生する様々なトラブル。
そして最後は自分だけが責められ叩かれる。
やれやれである。

苦労失敗といったネガティブ話も載っていてなかなかに興味深い。
フランク・ゲーリーやるのも大変なんだね。
まぁそれは世間が勝手に作っているイメージなんだけれど。


衝撃的な建築をするゲーリーが衝撃を受けたという建築家の一人に、ル・コルビジェがいる。
これまた一体どれだけ奇抜な物を造るのかとググってみたら。
まぁなんと!
ごくごく普通の建物ではありませんか!

違うのだ。

コルビジェが起こした建築の革命を当たり前として私が育ってきたらか、彼の建物を『普通』と感じるのだ。
言われてみればココ・シャネルの服も、デカルトの座標系も、豆電球ひとつだって、はじめはどれたけの衝撃だったのだろう。想像すらつかないけれど。

「普通」とは、「落ち着く」とは、何なのか。
それは決して『いま』の『わたし』を基準にしていては見えてこないものなのだろうと、約100年の建築史を本書でゲーリーと辿りながらふと考えた。


だってさー、ゲーリーは混沌とした場が落ち着くらしいけれど(だろうね)、私は苦手。
私の思考が世界の基準じゃないんだもんね。


🌼コメント宜しくお願いします😊🌼