2023年1/11【606】??? 難易度4?

今年は【カラマーゾフの兄弟】に挑戦したい!
ということで、まず読んでみたロシアの劇作家チェーホフの戯曲。
というか本を手にとってみたら戯曲だったどうしよう、オロオロ、である。

戯曲。
小説とは違い、劇の台本のようにほぼセリフとときどきト書きのみで書かれているもの。
慣れていないため読むのに戸惑ってしまったが。


なんというか、暗いなぁ。
舞台は150年程前の転換期のロシア?
落ちぶれた貴族、希望のない明日、ただ暗く、ただ寒く。

うーー、北陸の冬と重なるーー、鬱々。


登場人物が自分の境遇についてウダウダと文句ばかり垂れるなか、最後に娘ソーニャが言う。

『…生きていきましょう。長い長い日々を、長い夜を生き抜きましょう。…』

仕方ないのだ、自分の境遇を受け入れよう。
働いて耐えて泣きながら死にましょう。
そしてあの世で神様に言いましょう、あたしたちは苦しみました、って。


うーーーー。


どうやらロシア正教の教えが話に影響しているようで…ある?

この話で敢えて何かの気付きを得ようとするのなら、自分でコントロールできないことにいちいち悩むなと。絶望をまず受け入れて前を向こうよと。
そういう感じなのだろうか。

とにかく北陸の冬空と私の今の心情とリンクしすぎていて、ソーニャのセリフには希望どころか絶望に近い感覚すら覚えてしまった。


そうなのだ。
読む人によっては、最後のソーニャのセリフはどうやら希望となるらしい。


【ワーニャ伯父さん】、どこかで聞いたことがあると思ったら昨年話題になった村上春樹原作の映画【ドライブ・マイ・カー】に劇中劇として使われていた話ではないか。

戯曲でチェーホフが言いたかったであろう『不満の中にいるかもしれないけれど微かな希望を胸に抱いて生きていこうよ』的な比喩を、村上春樹も伝えたかったのだろうか。


そして、よくよく思い返せば先日読んだ【奇妙な死刑囚】にもチェーホフが出てきたような気がする。
 


冤罪で死刑囚として収容されるなか、チェーホフを心の拠り所にして希望を持ち続けた、とかなんとか。
「チェーホフチェーホフって、誰やねん」と思いながら読んだ記憶あり、あはは。


続く【三人姉妹】。
これも似たような話で、最後に娘オリガが良いことを言って話は終わる(チェーホフ、ワンパターン?)。

『…私たちが味わったこの苦しみは、私たちのあとから生まれてくる人たちの歓びに変わっていき、やがてこの地上に幸せと平安が訪れるの…もう少し経てば、私たちが生きてきた意味も、苦しんできた意味もきっとわかるはず…』


うーーーー。
胸が、、痛い。。



これらの話が今でも読み継がれている理由は、なにか共感するものが多いからなのだろう。
チェーホフの戯曲はきっと一筋の光の話なのだ。

良い話だとか評価するとかしないとかの次元ではない物語な気がする。


戯曲ということを抜きにすれば短い話なのでわりとサクサク読めた。
ロシア文学に挑戦してみたいのであれば当時のロシア事情を垣間見るにちょうどいい作品なのかもしれない。
いきなり難曲、いやいや、最高文学に挑戦して文字だけを追っても…「読んだ」なんて言えないものね。


まぁとにかく、ロシアウクライナのニュースを見るたびに、ロシア文豪たちの嘆きが聞こえてくる気がしてならない私である。


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