2022年6/25【552】good 難易度3

コーヒーが好きだ。
コーヒーが身体に良いと知ってから毎日飲むようになり、止められなくなってしまった。

と言っても味の違いがわかるわけではなく、色さえついていれば何でもいい。
逆に豆から淹れるコーヒーなんて、せっかちな私には絶対にできそうにもない。

と言いつつ「コーヒーを趣味にしたい」「コーヒーのわかる人になりたい」というわりと本気な願望がある。
どなたかコーヒー通の人いませんか?


イヤミスの女王・湊かなえの『読了後に嫌な感じのするミステリー小説』を読もう第2弾。
 


前回読んだ【母性】がわたし的にイヤでもミステリーでもなかったので「嫌な読了感を味わいたい!」と思って読んでみた。


【母性】が女性3人の話だったのに対し、こちらは男子大学生4人の話。

本書のテーマは『親友とは』と言えるのではないだろうか。


私も彼らと同じ大学生のころは、周りのキラキラしている人達を見ては「私には親友がいない」なんて悩んだ時期もあったように思う。
未だに親友なんていないけれど(仲間はいるよ)、本書の登場人物達が『親友』にこだわる気持ちが、著者の巧みな心理描写でよく共感できた気がする。

そして【母性】に引き続き思う。
人の行動の裏にある理由なんて、他人にわかるわけがない、と。


亡くなってしまった親友を巡る物語。
『一番の親友』だったはずの自分が知らない、親友。

多少のミステリー要素を踏まえつつ、特別面白いわけではないがつまらなくもないない話が『コーヒー』を軸にして淡々と進む。
ああ、私も一度、そんなに美味しいコーヒーを飲んでみたいなぁ。


問題も解決。
うーん、フツーだったな。
たいしてイヤミスじゃないね。
あれれ?まだ続く。

エピローグ。
ラスト一頁。


ちょっとちょっと、『ミス』はあったけれど『イヤ』がないよ。
来るか来るか!?

左手で文字を覆いジリジリずらしながら最後のページを一行づつ読む(そうしないとネタバレが先に視界に入るのよ)。


来るか、来るか!?


キターーー(* ゚∀゚)!!




これが…『イヤ』だったのか…
確かに、イヤだわ…


もしこの話が毎日少しずつ掲載される新聞連載小説であったのなら。
それまでの数ヶ月に渡る連載は、紙にして約250頁の今までの話は、この、最終回の1日の、この最後の半ページのためだけにあったのか、と。
この『イヤ』をやりたいがためのそれまでだったのか、と。
最後の最後こそが、話の真髄だったのかと。
それまでのアレコレ全てが、壮大な伏線だったのかと。
この最後の半ページか、物語の出来を左右するのか、と。
変なところに感心してしまった。

そしてふと考える。
コーヒーの味のわからない私ははたして幸せ者なのか、と。
何を飲んでも「コーヒーだぁ」という感想しか持てない私は、幸せ者なのか、と。
「この!コーヒー!ナニコレ!?」
と感激することもないかわりに、
「不味い!うわっ飲めないよこんなの」
とイヤな気分を味わうこともない。
※たぶん私が常飲しているのは不味いコーヒー

何を飲んでも「コーヒーだぁ」で一応満足できる私。
私はこれでいいのだろうか。


趣味の音楽にしてもそうである。
ただ聴いてただ弾いていたうちは
「あの曲が弾けた、イェイ!」
だったのが、欲が出て聴くべきポイントが分かり、へんに耳が肥えてきたとたん
「こんな演奏で満足してちゃダメだ。」
と自己嫌悪。

そんなんだったら、
耳なんか肥えないほうが良かったのか。
なにも知らない方が、ずっと幸せだったのだろうか。


マグカップにたっぷり入れたコーヒーと、たっぷり塗ったバターの上にこれまたたっぷり蜂蜜をかけたトースト。
明日の朝食はこれで決まりだろうと思って、たっぷりとボキャ貧の私は本を閉じた。

まぁ、この程度の『イヤ』が鬱らなくて丁度いいかな。。


本作は藤原竜也主演でドラマ化してたそうな。
知らなかった~


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