2021年8/15【461】very good 難易度2

中野京子にハズレなし!
絵画と共に辿る、ハプスブルク家波乱万丈の歴史。

ハプスブルク家に関係する人物と言えば。
有名なところでマリー・アントワネットにナポレオン。
カクテルの名前にもなっているブラッディメアリーもいれば、宝塚でやっていたエリザベートに、処女王エリザベス一世。
らしい、私もよく知らないけど。

ややこしすぎる西洋史。
同じ名前が多すぎる。
似た名前が多すぎる。
言語が変われば呼び名も変わる。
フェリペにフィリップ、カールにカルロス、シーザーにカエサル…
嗚呼、ややこしい。


なんだけど、面白すぎる西洋史。

登場人物が濃すぎ!
近親相関で血が濃すぎ!
ドロドロしすぎ!

そんな西洋史、特にハプスブルク家650年の歴史を、たった一冊の本で理解しようなんて、どだい無理な話である。

その複雑な歴史を『絵画』を通して覗いてみようという本書。

『絵画』とは、かくも予言的で秘密的で暗黙で沈黙で無言のメッセージを秘めているものなのであろうか。
『絵画』って恐い。


著者の中野京子氏の絵画に対する観察力と表現力が鋭すぎて、よくここまで推理推測できるものよと毎回感心する。


加えて彼女独特の、クセのある個性的な言葉のセレクトと使い回し。
残虐で残忍で運命的で絶望的で、そんな世の中の無情な流れを儚くも美しく表現する彼女の文章は、なんだか崇高なものを読んでいる気分になってお得感がある(なんだそれ)。


人物相関図が複雑すぎて何度読んでもわけがわからない西洋史。
印象が強すぎて忘れようがない!はずなのに、1日経ったら全部忘れてしまう西洋史。

ブラッディメアリーとメアリースチュアートは、同一人物?別人?
なんだかどっちもヤバそうだけど!?
と、Wikipedia片手に整理しながら読み進める。

あれ、この人前にどこかで出てきたよね、うーん、どこだっけ。
そんなのばかりの西洋史。

そんな西洋史の何が面白いって、ドロドロメロドラマも一級品に面白いけど、当時の建物や服装ファッションなんて、こちらも見ていて一級品の目の保養(ツッコミ処満載?)である。


よくわからないのだけど『絵画』って西洋で発達したのかしら。
『日本画』というと墨で書かれた絵とか、人物像なんてどう見てもデフォルメされているよね的な、どちらかというと暗い絵が多い気がする。
しかも描かれているのは、いかつい戦国武将やお多福十二単ばかり(あくまで日本史に詳しくない私のイメージでは)。

なんだけど、西洋絵画は、デフォルメされていたとしても写実的だし、かなり強烈で可哀想でクセのあるプリンセス達がしこたま登場するから、興味をそそられることこの上ない。

ので、私は西洋史が好きなのです。


何度も読み返し少しずつ頭に入れて面白さをじっくり味わいたい、中野京子シリーズでした。


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