2021年6/12【443】very good 難易度3

精神異常者、凶悪犯罪者、IQ180の連続殺人鬼。
サイコパスは、あなたのすぐ隣にいる…


のだけれども。
サイコパスとは、そういう極端で特殊な人だけを指すわけではない。

不安や恐怖を感じにくく、大舞台でも堂々とできる人。
多くの人が倫理的理由や危険からやらないようなことにも、平然と挑戦する人。
人当たりがよく、周囲の人々を強く惹き付ける人。etc.

そういう『サイコパシー傾向が高い』人たちは、特に大企業のCEOや外科医などの、大胆な決断を迫られる職業に多くみられるという。


サイコパスに限らず人間の『性格』を決定する要因として、遺伝や環境のほか、例えば脳の部位の大きさ、脳内物質の分泌量や心拍数の違い、そういうものが複雑に絡み合い、そこから『その傾向』が表れてくるというのがとても興味深い。

好きなものは好き。
嫌なものは嫌。

それは自分が強制的に思い込むものでも無理に変えるものでも「○○な私がおかしい」と責めるものでもなく、それが『わたし』であり『個性』なのだ。


自分にしか興味がなく、ハイリスクには目もくれず、恐れを感じない『傾向にある』というサイコパス。

大多数を占めるであろう非サイコパス人間にとって、彼らがやっかいな少数派なのは確かだろう。
だが、逆に彼らの方が生きるのに望ましい時代や社会も存在する。
私達現代日本人の価値観が、人類の普遍性価値観とは限らない。

また、過剰に魅力的で自信に溢れ、弁舌に長けるサイコパスの存在をふまえて
『面接ばかりを重視した採用試験や大学のOA入試、司法の素人に判断させる裁判員制度』
について、著者は疑問を持つという。

「人の良し悪しは学校の成績で決まるものではなく、人間性」
なんて言うけれど、事実としてサイコパシー傾向の高い人が存在し、彼らに上手く操られ、こちらが被害を受けてしまう危険性もあるということを、知識として知っておくだけでも有益なのではないだろうか。

魅力的な人間には注意しよう、というのではない。
前に読んだ【内なる創造性を引きだせ】にもあったが、心の内は簡単に言葉で言い表せるものではない。
 


ハキハキ発言できることがそうではないより優れているなんて、決めつけてはいけない。

これらの考え方は、私にとって大きな気付きであった。


人類進化の過程で『サイコパス』が淘汰されることなく生き残り存在してきたことは、種の保存や人間社会の発展に何らかの貢献があったからだろう。

サイコパス=異常者=排除すべき対象、なのではなく、ただ性格の1つのパターンであり、それは環境や社会だけではなく脳が関係しているものであり、それに適した職業や才能や生き方があるということ。

そういうことを、本書から学んだ。


何事においても、白黒二者択一で決めつけない。バランスが大事。
全編を通して、強く感じたことである。


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