2021年5/25【440】very good  難易度4

なぜ人は、予想通りの未来が描けないのか。
なぜ人は、予想通りの未来が来ても予想に反して満足できないのか。
なぜ人は、『幸せにつまづく』のか。


人が『幸せ』を感じるには脳内物質が深く関係している。
ドーパミンが出るような幸せはやがて逓減(時間と共に減っていく)するので、幸せは薄れてしまう。

なんだけど、『脳内物質のせい』なんて簡単に一言では片付けられない複雑で高度な『脳』の仕組みが、その所有者である『私』を鮮やかに欺き、騙し、無意識のうちに勘違いさせている結果、私達は幸せにつまづいてしまうらしい。

一体何のために?

それは。

たとえどんなに大きな幸せを掴んだときも、何か手を打つ気になる程度に、暗い気持ちにさせるために。
そして逆に、私達の身にどんなに辛く不幸なことが起こったとしても、状況に耐えられる程度に、明るい気持ちにさせるために。

人間が繁栄するために、(そのためにも)ほどよい経済活動の発展のために、私達の健全な心理的免疫システムは上手くバランスをとっているのだ。


では本書を読みトリックを理解し気を付けさえすれば幸せに近づけるのか?
というと、そうでもない。

人間である以上、平均的で一般的でまわりの皆と同じ『脳』を有している以上、どうしても、どうしても、私達には頑固なバイアスが常にかかってしまう。

雨のなか遠くのスーパーまでわざわざ安売りの卵を買いには行くくせに、マイナポイント5,000円貰える手続きは面倒なのでしなかったり。
分娩室では「もう二度と出産なんてするものか!」と誓うのに2年後にまた出産していたり。
『成功している人』の成功した部分しか目に入らずに、妬んだり比べて凹んでしまったり。


本書1冊のなかに、心理学、脳科学、行動経済学、哲学…と多方面から見る『人間の面白さ』が満載!
なんだけど、あまりに盛りだくさんすぎて「なるほど!」ということがジャンル別に多すぎて、書評としてはどうまとめていいのかわからない。

行動経済学の書評ではいつも言っている気がするが、とにかく。

『人間』て思っている以上に複雑で、面白くて、自分の直感でやっていると思い込んでいることが実は全然直感じゃないし、想像以上にまわりの影響を受けまくっている。

ということ。そして、

お金があることと幸せなこととは無関係なはずだし、子育てなんて正直ぶっちゃけ生き甲斐でも何でもないはずだし、自分は特別なんかではなく、自分だけが不幸なんじゃなく、極々平均的で、みんな同じように、基本的にはみんな同じことを考えて、みんな同じように行動しちゃってるんだよ。

ということ。


広く浅く(いや奥深く?)色んなジャンルを網羅しているので、心理学、脳科学、行動経済学、哲学なんかのの「何かこういう系の本を読んでみたい!」という人にはおすすめの1冊かも。


🌼コメント宜しくお願いします😊🌼