2021年 2/24【417】very good 難易度5


自然界は…音楽や美術や建築にも…シンメトリー(≒対称性)に溢れている。
異性に対する好みにでさえ、シンメトリーが好まれる。

本書は、簡単に言えばその『シンメトリー』に『対称性が幾つあるのか?』を『歩道の敷石の多種多様なシンメトリーに興奮しながら』人生をかけて調べている数学者達の話。


ブロックをただ並べるだけでも幾つものバリエーションがあるし、アルハンブラ宮殿なんかはシンメトリー研究者にとっては聖域らしい。
そして騙し絵のエッシャー。
それまでは「上手く描くな」程度の画家だったが、私の中では今や『天才』にランクアップ。


こうやって身近な例から高校数学レベルやがて本題へと、問題が複雑化していった流れを一緒に追いながら話が進むのだが…

やっぱり数学は難しい!

学術的な部分は次第にほぼ理解不可能になってくる。
それはそうだ、だって世界の天才達が何十年とかけて挑んできた難問だもの、いくら噛み砕いたって解るわけがない。

4次元の絵でさえ想像できないのに、196883次元の話なんて誰が理解できる?!
(そのことは著者も了承済み)


それでも本書を読み進めれる理由は、数学者の生態や業界のアレコレが面白いから。

身なりに無頓着だからと怪しまれ投獄された者(だけど牢獄は絶好の脳内研究所)がいれば、「今取り組んでいる証明は実は解けないものなのではないか?」と精神を病んでしまう者、「そもそも何のためにこんなことしているのか?」とわからなくなった者(何かを証明できても得られるのは数人からの拍手のみだったり、トホホ)…

私は一発屋なのか?
業績を上げられない焦り。
やっと発見したと思ったら横取りされる業績(何としてでも公式に自分の名を付けたい!)。
いつの時代にもどこの世界にもある数学者の権力争いに、同情。


特に印象的だったのが、最後の難問の計算を解き終え(るのはコンピューターの仕事だが)、長い長い道のりの終焉が目前に迫ったときの彼らの空虚感。

彼らが幸せを感じるのは『問題を解くこと』なのは勿論だが、何よりも、頭の中で電光石火の如く何かを閃いたときの、アドレナリンの放出なのだ。

たとえ賞を取ることもなく、業績を認められる前に死んでしまっても、自分で閃き考えて問題を解決したという満足感は何よりものご褒美。
きっとそれは、数学者だけでなく、私自身にも当てはまるのではないか。


また偉大な数学者には自閉症やアスペルガー症候群の人が多いという話には納得だった。


知ってるつもりになっていたけど知らなかったことって周りに溢れている。
『見方を変えても見方が変わらない』というパターンを探している彼らに『物の見方を変えるヒント』を本書でたくさん教えてもらった。


何でも受動的にやらされるのではなく、自分で考えて自分で閃いて、自分で道を作っていきたい。
改めてそう思った。


《後日追記》
これはもう言うまでもなく
「音楽をしていて楽しいのは練習しているとき」
「例え本番で上手くいかずとも『できるようになった!』というのが何よりものご褒美」
と自分に言い聞かせています(笑)


🌼コメント宜しくお願いします😊🌼