2020年11/23【392】good!! 難易度4


『自分たちがやることなんて、これから1,000㎞ばかりの氷海を50~60日かけて歩くだけのことじゃないか。』

…一体何を言っているんだこの人は!

『その極限的な行為は、自ら進んで死に向かって歩んでいるようにしか映らない。』

全くその通りではないか!


時は1845年、北極探索にてフランクリン隊129人全員が死亡。
彼らが見たものを求め、探検家・角幡唯介氏が北極を歩く!


極地探検。
なんと非日常で、想像範囲外の世界なのだろう。

-40度の世界では汗や息も氷るため、自分の呼吸にすらうんざりする。

歩いていると暑くて汗がだらだら噴きこぼれる、-20度。

一日あたり重さ1kg、5,000kcalを目安に食べる。

旅の初めには激しい性欲に悩まされる。

う●こはもちろん外でお尻を出してする(凍らないの?!)。
等々。
執筆当時30代であろう著者の、青年ならではのユーモア溢れる視点で書かれた本書、とても親近感が沸く。


著者が語る冒険の魅力とは。

『自分はこの先どうなるのか。そういう漠然とした先行きが不透明なところに、冒険の魅力がある。』

『地図がない世界を旅すること、土地が未踏であることは、隔絶感をさらに高め旅を不安なものにする。しかしだからこそ、いっそう魅力的なのだ。』

『多大で無駄な苦労をしたのもしょうがない。判断する経験がなかったのだから。現場で試行錯誤しながら進むのが、探検の醍醐味だ。』

これって、人生そのものではないか。

結果がわかっている人生なんて、つまらない。
わからないから、ワクワクする。
わからないから、自分で考えて、自分で行動するのだ。

だからと言って、敢えてこんな過酷な旅を選ばなくても…
しかも、ヨットで太平洋航海だの峡谷未踏査部単独探検だの、
この人一体何者?
同世代の著者、俄然興味が沸いた!


彼の探検に対する美学、GPSを使うことに対する強い違和感は、今の便利すぎる世の中に一石を投じているようでならない。

私達は知らず知らずのうちに『道具』に支配されているのではないか。
便利なのは良いことなのかもしれない。
けれど…。


しかし、それでも。
人間って、強い!!
それが読了後一番の感想。

環境に順応するし、自然治癒力もしっかり備わっている。
いや、強いのはこの著者が特別なのか?
きっと、そんなことはない。


個人的にはフランクリン隊に対する好奇心が著者ほどは芽生えなかったのだけれど、『129人全員死亡』の原因(推定)もおおかた明らかになり、スッキリ&へ~へ~であった。

次は著者の【極夜行】を読もうと思う。
太陽の昇らない極夜の北極圏。
果たして人間はどこまで耐えられるのだろうか!?

蛇足だが、本書を読むにあたり、Google Earthをスマホにインストール!
あらたな娯楽を手にしてしまい、ついつい北朝鮮を見ていたら…

急に画面が黒くなって固まって
ビックリした~((( ;゚Д゚)))

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