書評の前に。

『中国人ピアニストのラン・ラン』
と聞くとどんな人物を想像します?

私が初めて名前を聞いたとき、
チャイナドレスを着て長い黒髪をなびかせる美女
を想像しました。


それであるとき、演奏を聴いてみようとYouTubeで調べたら。




びっくりしたわーー!

演奏は絶品です✨✨


 

奇跡のピアニスト郎朗(ラン・ラン)自伝―一歩ずつ進めば夢はかなう

 


2019年 8/1【256】very good 難易度★★

【父の逸脱】で主人公セリーヌが出場した某ピアノコンクール、彼女は三位に終わったがその時の優勝者、それが本書の主人公にして世界的ピアニストのラン・ラン。
前書と本書の2冊、ここの部分が互いに上手くリンクしていて面白い。


虐待こそなかったが、セリーヌ同様常軌を逸した父親に監視され、スラム街の極貧の中ピアノを練習し続け、中国文化特有の中で理不尽な目に散々遭いながら『ナンバーワン』を目指したランランのサクセスストーリー。


セリーヌとランラン、どこが違うのか。
それは

ピアノが好きか
■ナンバーワンになる野心があるか
■本人の気持ちを最優先し父を戒めることのできる、人として優れた指導者に出会えたか

の三点だろう。


中国文化大革命によって夢を奪われた両親の元に生まれたこの世代の子供達は、一人っ子政策のため親の期待を一身に背負わなければならない。

本人の努力は言うまでもないが、何が凄いって、自分の人生を犠牲にして全てを息子に捧げるランラン父の執念が凄まじい!!

収入源は田舎の母の少い稼ぎのみで、父はレッスンの監視や情報収集に忙しい(働けや!笑)。
コンクールの優勝賞金も全て借金返済(コンクール会場までの交通費等)に消えたという。

世に出るスーパースター達の多くは、彼のような名もなき両親達の圧倒的サポートがあってこそなんだろうか、絶句。


ランランは幾度も絶望的な状態に直面しながらも、何度も奇跡的な幸運に恵まれる。

この親子の『ナンバーワンになる』という執念が凄すぎるので、まさにこれが
と思えてならない。


『芸術には政治的な力関係がある』と言い切ってしまう指導者の権力争いで苦しめられたり、アメリカvs中国の真逆の国民性に板挟みになったり、海外で大成しても祖国中国からは決して認められなかったり。

それでも自分の信念を貫き様々な活動を行うランランを応援したくなった。



個性がなくてもダメ、ありすぎてもダメ。
なかなか難しく、そして面白い世界だなぁと思った。


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