『高堂巓古 Officia Blog』 -70ページ目

弱き四十八手 その十四

photo 3.JPGphoto 3.JPG 或る直木賞受賞作品に串田という男がでてくる。主人公が告白しているとおり、あえば劣等感でずり落ちそうな自分を、絶えず色々な方法で持ちこたえてゆかなければならない類の男であった。実際に高校教師の主人公も串田の保証人になることによって、はじめて対等の立場にたったという解放感を得たものの、結局は串田に躓(つまず)き、狂わされてしまう。


劣等感とは、相手を自分に着地させたいという均質化のことに過ぎない。


 この短編における主人公も串田とであったときに、串田を基準とすればなんてことはなかったのに、自分に串田をあわせようとしたが故に毀されてしまった(まあ、そうなってしまっては小説にはならないのだけれども)。しかし劣等感とはどういうわけか、幸福感よりもはるかに長生きし、記憶に永く残るものであるらしい。最近、生物における進化の鍵はどうもここらへんにあるのではないかとにらんでいる次第である。どのような動物から嫉妬や劣等感といった感情は抱くようになるのだろうか。劣等生であった私にはよくわからない。