妹B子さんの検査結果を聞きながら「私もこの検査を受けたい。」と言い出した看護師A子さん。先日、その結果を聞きに会員制クリニックを受診した。
A子さんの勤める病院では定期的に健康診断が行われています。毎回、全ての項目がAランク(優等生)だったA子さんです。
この検査に臨む前にA子さんは語っていた。「この会員制クリニックの姿勢ですが、あまりにも一般病院と違う点が多くびっくりさせられました。一般病院では患者側の愁訴を聞き、検査結果を見ながら、病名を告げて薬を出すだけです。何度検査を受けても同じ繰り返し。」
「そのうちに、患者側は医師の答えに、” あぁ、そうですか ”、と対話を諦めて診察室を出て行く。」
「でも、このクリニックは違う。原因を見出してくれる。ですから私はここの検査と診察を受けたいのです。」
「診察室には被検者である妹以外にも、私や拝さんまで入ることができて、オープンな形で検査結果を聴くことができる。それは、情報の共有もできるし、学びの場になることも素晴らしい。」
現役の看護師さんがそう言った。
さて、検査結果を見ながらこの日の診察室で説明されたこと。そして、管理栄養士からも食事の過ちや、栄養の大切さを解説された、その日のこと、お知らせします。
A子さんの検査結果は、どれ一つとして基準値を外れていない。一般的には、どの病院でもこの状態を「健康」と評価している。
しかし、A子さんには多くの不定愁訴があった。「皮肉を言うわけではないが一般病院の評価は、不定愁訴 (頭が重い,肩が凝る,腰が痛い,いらいらするというような患者の定まらない訴え) があっても人は健康なのだ、とも聞こえてくる。・・・それで良いのだろうか?」
参考に、A子さんの不定愁訴の一部を挙げてみます。
◆めまい、立ちくらみがする。
◆疲労感がある、何となくだるい。
◆むくみやすい
◆寒がり、冷え症である
◆朝起きられない
◆食欲がない
◆顔色が悪い
◆毛穴が開いている
◆化粧ののりが悪い
◆注意力が低下している
◆喉に違和感がある
◆頭痛がよくある
◆肩がよくこる
◆腰痛がある
◆ニキビや吹き出物ができやすい
◆足がつりやすい
◆胃の膨満感がよくある
◆吐き気がする
◆湿疹ができやすい
◆口内炎、口角炎、口唇炎などになりやすい
◆脈がとぶ、脈が速い
…等々であった。
診察室でこの症状を全て述べられる患者さんは殆どいない。A子さんに於いても、クリニックの問診チェック票があって、その為にA子さん自身も初めて気が付いたことが多かった。
医師は「GOT 18u/lに対して、GPT 5u/lは低すぎますね。GOT>GPTの乖離が大きすぎる。これは、ビタミンB6の不足です。様々なビタミンB群不足による精神・神経症状が現れても不思議はありません。他にも、毎年乳腺のチェックは怠らないでください。」・・・添え書きをすると、ビタミンB6欠乏症には乳がんがあります・・・
A子さんは驚いた顔をしていた。
「関節ビリルビンが 0.8mg/dl(基準値は0.2~1.0 mg/dl)で、基準値内なのですが検査結果は0.7 mg/dl以上となっており、赤血球細胞の寿命短縮を意味しています。貧血があるかもしれませんね。」(看護師であるA子さんは、学校で赤血球寿命は120日である、と言うことは習っていた。しかし、その寿命が短くなるなんて教わったこともない。)
・・・と医師は云い、貧血項目の説明が始まった。
鉄欠乏性貧血ですね。
ヘモグロビン 12.8 g/dl (女性の基準値 11.5~15.0)
ヘマトクリット 39.5%(女性の基準値 34.8~45)
血清鉄 65μg/dl (女性の基準値 40~180)
フェリチン 27.2ng/ml (女性の基準値 4.0~64.2)
フェリチン低値は鉄欠乏性貧血なのです。基準値内なので良いのでは? と思われましょうが、教科書には「人の体内には1gの貯蔵鉄がある、と書かれています。フェリチンは貯蔵鉄を表しており1ng/mlは7mgの鉄に換算されて、貴女の場合、7×27.2=190.4mgですから、貯蔵鉄量は0.2gしかないことになります。」
「つまり、教科書に書かれている貯蔵鉄の20%しかない、ということなのです。」
「諸症状の、◆めまい立ちくらみがする~◆ニキビや吹き出物ができやすい、辺りまでは鉄欠乏性貧血の症状なのです。」
と、説明された。
「赤血球寿命の短縮と、鉄欠乏性貧血の数値が記されていながら、赤血球生産を示す数値「網状赤血球数」が6ミリパーセントしかありません。これは、通常の半分しか赤血球が造られていない、ということなのです。」
「その生産不足の原因として、赤血球生産材料(動物性鉄、タンパク質、ビタミンAなど)が不足して、鉄欠乏性貧血になり不定愁訴をもたらしている、と考えられます。」
「中性脂肪値の34mg/dlも低すぎます。毎日何を食べているのですか? 基準値内なのですが低栄養状態です。70以上、100mg/dl程度は欲しいところです。」・・・医師は、食生活の質についても言及した。A子さんは、朝食を食べない(食べられない)ことも医師に語った。
その他に「空腹時血糖・ヘモグロビンA1cが基準値内なのですが、下限傾向であることが指摘された。」・・・慢性的な低エネルギー状態に陥っており、その為に体内物質を壊しながらエネルギー産生(糖新生)し体を疲れさせている。・・・
A子さんは医師の指摘に頷き、食の大切さを実感していた。自ら薄々感じていたことを、検査数値を見せられながら自覚を促されたわけです。
管理栄養士からも全く同じことを細かく説明されて、看護師A子さんは「自分の健康は自ら守るべし」と気持ちを新たにした。
ただ一点、基準値を外したのは「ヘリコバクターピロリ感染」の項目だけでした。
今、妹のB子さんと一緒に胃内視鏡検査を受けて結果待ちです。
またお知らせします。