10月10日の続きです。
「俺、もう駄目だ。毎日苦しくて、死にたくて、いつ自殺してしまうか・・・。」 そう訴える彼に、今は何を言っても聞く耳を持たない。
「拝さんだから愚痴るのだけど、体が元気そうに見えるらしく、誰にも俺の辛さは解ってもらえない。誰も俺の話を聞こうとしない。」 と言う。
そう訴える彼に少し可笑しな仕草を感じた。口をモゴモゴして、唾を飲み込んで、それは無意識にそうしているような感じです。
(あ~ これは・・・。向精神薬による薬剤性のジスキネジアの始まりなのだろうか。そう感じた。) それで前回、彼の場合薬を飲むよりも食生活を改める方が大切だ、と思っていました。今でもそう思っています。と、記したのです。
精神科医も、彼らが飲ませた薬剤によって現れる、アカンジアやジスキネジアには手を焼いているのですが、その精神科医が抗パーキンソン薬よりも、栄養素補給の大切さを訴えている。・・・それで治ったからです。
さて、彼のうつ病の原因を探ってみます。
若い頃から、彼の食生活には特徴があります。それは、大食漢で太る食品が好きだったのです。脂肪肝(内臓に脂肪が蓄積) になり苦しんだ時期がありました。自己流で痩せては、また太る、その繰り返しでした。
酒を飲まない彼は、ご飯・麺類・嗜好品の甘味料が大好きで、直ぐに太るのです。太るのは糖質過剰から始まるのですが、その一方で、機能性低血糖も進みます。それだけではなく、体に取り込まれた糖はエネルギー変換されるたびにビタミンB群やアミノ酸(タンパク質)を消費して、糖分をたくさん食べれば食べるほどビタミンBやアミノ酸不足になります。
低血糖そのものもうつ病や精神疾患の引き金になりますし、それに加えて、ビタミンB群不足、タンパク不足はその症状の激しさに拍車をかけます。(糖質摂取を控えて、ビタミンB群やビタミンCを大量に補うだけでもうつ病の進行は防げます。)
この話も彼にしたことがあります。彼はインターネットで低血糖症を検索し「俺の症状と食生活は全て合致する。」と報告をしてくれた。
彼のうつ病は「食原生症候群」なのです。それを理解した後でも彼は、食生活を改めなかった。
それに加えて、うつ病(様症状)発症の決定的な追い打ちは「業務」によるストレスでした。余りにも大きなストレスは、副腎を疲労させます。副腎疲労の結果、うつ病と間違うような症状が現れて、更に薬が増量されていきます。
なぜ副腎疲労を疑うのか、それは、仕事の打ち合わせをしても彼はその内容を記憶しなくなってしまったのです。自分で約束したことを忘れ、書類の授受があったことも記憶から飛んでしまう。気力は減退し、活力は低下していく。いつも疲れている。
副腎は、ストレスに対抗する重要な臓器でもあるのです。アドレナリンを出して人をやる気にさせます。
副腎は、ビタミンC濃度の高い場所でビタミンC不足になると、副腎の機能が低下し、この機能が失われると人は生きていられません。
ストレス下では、タンパク質とビタミンB群のパントテン酸需要量も増します。
低血糖症・副腎疲労症候群は双方ともに、タンパク質、ビタミンC、ビタミンB群不足がうつ病(様症状)発症の原因になります。
うつ病を考えるにあたり、精神病理学者が唱える「メランコリー親和型性格」や「執着気質」など、人の性格・心理だけに囚われるだけではなく、生化学的要因がうつ病を発症させていないか、と考える必要があるのではないだろうか。
うつ病が苦しいからと云って薬だけに頼ると、廃人寸前に追い込まれた彼のようになる可能性は大きいのです。
自らの病は自ら治す、そのヒントになればと思い、ここに記してみました。