がんは、自分の細胞が変化したものです。ちょっとした狂いから、分裂という増殖を繰り返して、正常細胞とは違うタイプの塊となるのが”がん”です。そのがんの塊が10億個の細胞数に膨れ上がると超初期のがんとして発見できるようになります。がんの性質については、その増殖スピードが早いか遅いか? それと、再発・転移するか、しないか、その特性の違いによってがんの悪性度が決まります。
従って、”がん”と一口に表現されても、がんの標準治療を施すと良い結果が現れるガンもあれば、絶対にそのような治療を受けないほうが幸せなケースもあります。治療方法をどのように選ぶか、それは罹ったガンの個性によって変わるものだと私は理解しています。それが胃がんであっても、200種類以上にも分類されて、その一つ一つと、患者の全身状態によっても治療法の選択が異なるべきものだと思います。
もしも、ご自身がガンに罹ったら、自分のガンはどのようなガンなのか? それを見極める知識と、冷静さを、今からでも身に付けることが大切です。
これを身につけると、医師としっかり対話できるようになります。検査の進め方、診断が下ったあとでも治療法の選択、セカンドオピニオンを受けるなどなど、選択肢は広がり、医師は患者の話を冷静に聞いてくれるはずです。
一番困るのは、急がないとガンが大きくなって命取りになるから、即手術、そしてそれが終わったら、補助療法として化学療法もしくは放射線療法をしましょう、と医師に勝手なスケジュールを組まれて、考える間も与えられず治療に進んでしまうケースです。
そのようなケースで、手術が終わって、医師の勧める補助療法を拒絶すると、患者の医療費には保険適応されても、病院側には保険が降りず、経営的損失が発生することになります。そのような理由から患者が補助療法を拒絶しても、なかなか同意して戴けないことも多いのです。
家内のがんですが、かなり悪性度が高いがんだったようです。放射線治療に入って7回目の時、医師はCTを撮り「えっ~ またこんなに大きくなっている。」と家内の前でびっくりしていた、と云う。
それを聞いた家内も、びっくりしながら落ち込んだ。私に「そんなに私のガンは悪性なの? 医者もたまげるほど・・・」と、私に問い詰めてきた。
全く、しょうもないお医ちぁさんだなぁ。と言いながら、この4~5ヶ月間であれだけ大きくなったのだから、9月の19日から一ヶ月経ってまた大きくなっても不思議はないだろう。だって、放射線当てても効果が出てくるのは、1ヶ月から2ヶ月先なんだし、ビタミンC点滴を続けて効を奏しても3ヶ月も半年も先になるだろう。気長に待とう。
そう言うしかなかった。
会員制クリニックの医師にその旨伝えた。医師は「つい先日、別の話があって放射線科の医師と会った時に、奥さんの話が出ましたよ。」それは次のような話だったそうだ。「あの奥さん凄いですね。がん転移の診断から3週間も経っていないのに、待合室や診察室でも常に明るく前を向いて、元気!元気! と、いつも心がしっかりしている。」「そう仰っていましたよ。だから、ポロリと見たままを言ってしまったのでしょう。その安心感が、患者の心を気遣うより先に口走ったのでしょう。」
家内にはその侭伝えた。「あっはは、そんな訳か。」無頓着を装っているのか、普段の明るい笑顔でそう答えていた。
勿論、悪性度が高いほど予後は悪くなります。