ilmontuvini

 ポー河が北のロンバルディア州と南のエミリアロマーニャ州を隔て、そこにあるColli Piacentiniを西へ進むとポー河の南でありながら、再びロンバルディア州に入るが、Oltrepo` pavese(パヴィア・ポーの向こう側)と言う名のブドウ畑の丘がある。 2000年もの昔からローマ人によってワインが作られたこの地で、また、この Il Montu‘ Beccariaは、トナリーニ家によって手掛けられた1902年に開業されたイタリア最初のワイナリーのひとつ。 


ロケーションは抜群。ワインだけではなく、各種グラッパ、珍しいりんごグラッパも味わえる。とても素敵なレストランも館内にある。ここだけではなく、ポー河の北にある”ミラノのワイン”サン・コロンバーノ・アル・ランブロや、東側のColli Piacentiniのワイナリーも訪ねることが出来る拠点にするのもいい。



ピエモンテ、フランチャ・コルタ、そしてこのオルトレポー・パヴェーゼなど、北イタリア、パダナ平野のワインはヘビーなものが多く、肉料理に合う。南イタリア、たとえばシチリアの場合は、太陽の光を燦々と浴びているため、アルコール度が強いワインが出来る。ポー平野のワインの場合はそうではなく、太陽光線は比較的弱いながら、実はこの平野全体が太古の時代海の底だったために、塩分を多く含んでいる。アルプスの高嶺の岩が雨で流されて海だったところを陸にしてしまうため、この地方の土壌は、石灰質を含んだものであることや、また海中の動物だった太古の三葉虫やアンモナイトなどの化石化が土に混ざっていることによってミネラルを含んでいる。


ワインほど産地によって様々な飲み物もないわけだが、イタリアが地中海の見たから南まで縦に長い土地を持っていると気候もかなり違ってくる。底に侵入した様々な民族が様々な食習慣を持ち込んだことで、ワインもまた料理に合ったものに仕上げられていく。


日本は西洋と出会って、西洋化をはじめて140年、しかも西洋と言ってもビールの文化圏もあり、日本ではビールは当たり前になったが、ワインのように土地と結びついている飲み物を、しかも食べるものあまりにも選ぶ飲み物に挑戦するなら、お米や魚ばかり食べてきた先祖を持つ我々の肉体と二千年はワインを飲み続けて遺伝子にさえ組み込まれている食習慣を「売ってあるから買って飲む」のであれば危険だ。特に「ガブ飲み」を続けていては一生ワインが飲めない体になってしまう。 


ワインは女性にたとえられることが多い。しかも相手を選ぶ女性だ。強引に迫ると嫌われてしまう。自分を知り、どの女性が自分に合うか、その女性のことをよく知る必要もある。