ある日本人の知り合いに紹介されて、グイドの事務所にやってきた二人の女性は、以前「KOMINO SHOW」のことを書いて紹介した日本から送られてきたほぼ60着以上の着物をストックしているのだが、それを見に来た一人はデザイナーで、もう一人はそこで働く人だった。  日本人の知り合いの人は、少し前に来て、セレクトをしてくれていたので、その中のものを中心に15着ほどを、コレクションでの生地として使うことになった。    彼女らは最初から興味を持ってくれたが、もし、その日に引き取ってくれたらいい価格で処分するつもりでいた。しかし、車でなく歩いてきたので今日は置いていくという。 彼女らのアトリエは歩いて行ける所で、グイドが運んであげるからぜひ決めてほしい、と言って納品までしてあげた。 この日はとても暑い日になった。 午後2時から4時くらいにかけてのことで、それでもグイドはひたむきに大きな箱をお客さんのアトリエまで届けた。 仕事場を少し見せてもらって、お金を受け取れると思っていたのが、今日はお金がないという。 今日はじめて会った人たちでこれはちょっと不安にさせられた。 こういう事って結構疲れさせられる。 自宅に帰って家の前で子供たちが遊んでいた。 自転車を買ったばかりの4歳の子供は、自転車にコマをつけてヘルメットをかぶって走っていた。 14ヶ月の子供に出会った。 小さい子供はお母さんと一緒にて、三輪車のペダルさえも踏んで進むこともできない。 それを見た4歳は、コマがついているとはいえ、自転車でペダルを使うのを見せてあげた。 小さな子供への思いやりだろう。 そのあと4歳児には、年上の女の子が二人自転車でやってきて、一緒に自転車で遊び始めた。 そこに同い年の男の子と1歳近く年下の男の子が合流したのだ。 この合流がすでに、みょうな心の引っ掛かりを感じたが、弟の自転車にはすでにコマがはずされている。 結局4歳児は、たった一人だけコマつきの自転車を走らせることになった。 グイドは、昼間の出来事を思い出した。 「ひたむき」が落胆させられた気持ちってこれだなあ・・・と。 ま、そんな時もある。でもそれでもひたむきに生きていこう。とグイドは思った。