ある日の日本語レッスンのこと、イタリア人の生徒は4人だった。 グイドが先生で、他によう子さんと言う日本女性がアシスタントとして、日本語教室もあと1回のレッスンで終わる彼らのうち日本へ行くという人たちに、雑学コーナーで「お土産」と言う日本の習慣について話した。 と、いうのも、ある女性の生徒が「日本へ行ったらレストランでチップを渡さなくていいの?」と聞いてくるから「日本人はそういう時、お金よりイタリア人の人が来たと言う記念になるお土産の方がよろこばれるよ」と言うことから話が始まった。 それをきっかけに話を盛り上げようとしたグイドは「じゃあ、君たちはイタリアからお土産を持っていくとしたら何を選ぶ」というと、大多数が「チーズ」や「生ハム」「パスタ」と言う。 そういうものは日本にもあるよ、と言う日本の市場を説明しないと的確なアドバイスにはならない。 お土産って本当に喜んでもらうものを選ぶ難しさがある。 これをマスターしたら、マーケッティングはバッチリで、貿易の知識の半分は得たも同然である。 日本とイタリアと言うこれまで直接的流通がほとんどなかっただけに興味はあるものの、ここ十数年の間に次から次へとイタリア製品が紹介されブームを生んできただけに、逆に難しいともいえる。 しかし面白い。この面白さを味わった人たちの間で、気がつけば貿易が仕事になっていた、という人までいるくらいだからだ。