yuri

   海外で生活をしながら、なんでも日本のものを捜している人がいる。

   日本の車や、日本の電化製品などはもちろん、テレビをつけると日本のアニメが、そこの国の言葉に訳してアフレコされ放送されている。

   こんなことを書こうとしたのではなく、問題は、我々日本人が、これらのアニメや、マンガの影響を受けているということだ。イタリアでも、オタクと言う日本語が、そのまま使われているくらい、いい年をしたものまで、アニメだ、マンガだ、コスプレだ、と言う人は多くなったが、一般にマンガやアニメは、子供のためにあるという考え方が強い。

   日本のマンガの多くは、高校生くらいが対象になっている。

   イタリアで人気を得て、今でも登場人物「ラムちゃん」の人気が定着している、あの「うる星やつら」は、1982年くらいにマンガで連載されたか、アニメの放送された頃で、実に23年前、グイド自信が高校生だった(しまった!年がばれる!!)わけで、23歳の人たちは、まだ産まれたばかりだということになる。つい最近のことのようだ。時の経つのが早くと恐ろしい~。

   この物語の主人公「諸星あたる」は「友引高校」に通う高校生だが、異性人の突然の来訪によって、セクシーな「ラム」ちゃんと結婚生活を始めることになる。問題は、このラムちゃんがどこか西洋人的で、日本人がおとぎ話でよく登場させた「鬼」をモデルにしている。その通り、彼らは、トラのコスチュームで,角があり、牙を持っている。髪の毛と目の色は、緑で、目鼻がはっきりした、ちょうど日本人がイメージする西洋人である。

  他にも、たくさんのキャラクターが登場するが、異性人は、髪の毛の色が赤かったり、どこか西洋的である。少年向けギャグ漫画だけに、日本人は日本人的だが、少女漫画の場合は、ほぼ全キャスター外人である。

  このアニメが、まだ放送されていた頃、日本に住んでいても、そのことを分析したことはなかったが、本物の西洋人の国で住み、実際の日本人を時々見るという環境にいると、我々日本人は、アメリカ人のようにハリウッドの映画に登場する俳優たちを自分たちに当てはめて考えると対照的というか共通していると言うか、アニメの人物に自分を投影させて、一つの幻想を作ってきたのには間違いない。

  「うる星やつら」は実にうまく考えられたキャスティングであり、古来から島国日本人は、外国と言う未知の世界に関心を持ちながらも、ハプニングを起こすのではないかと言う不安があり、おとぎ話に登場する「鬼」「天狗」「河童」などの話しが生まれ、作者の高橋るり子さんは、そこに目をつけ、架空の生き物であったものと外国人のイメージをミックスさせることに成功した。


  興味深いのは、モデルにされた西洋人たちが、これらのアニメを見て、一体どういう風に考えているのかである。