旅先の夫から、ときどきメッセージが届く
人生は、いつも「行きずり」で
出会って交わって別れるを繰り返す
所有にはなんの意味もなく
意図して共有する必要もなく
わたしたちはただ、そこに存在し、
いのちを生き、時が流れ、形が変わる
それだけなんだねって話をする
夫が旅に出るのは
世界はとても広いんだということを
感じていたいからだという
そして
広い世界に生きる
ひとりひとりの人間を
見たいのだという
「旅をして人を感じて写真を撮る」
それが彼の生き方だから
無事に帰ってきてほしいという思いも
そばにいて、いろんな話がしたい、笑い合いたい、体温を感じたいと願う思いも
私のなかで温めておくだけ
ひとは誰もが一人なんだと
誰もが自分を生きるからこそ
共に生きられることが素晴らしいんだと
教えてくれる彼と
いま同じ時代にいのちをもらって
共に存在していられる奇跡に感謝して
彼が「ただいま」と帰ってきたら
目を見て、体温を感じて、いろんな話をしよう
いま、彼が見ている、美しい世界の話を
いま、わたしが生きる、美しい世界で