4年前に1年間私にイタリア語を教えてくれていたエレナと、娘の友達のマリアに会うために、彼女たちの夏の滞在先のアルゲーロに会いに行く。今回はレンタカーは借りなかったから、バスで向かう。でもその方が中心街に入れるので便利。海に行くには不便だけれど。

 さてエレナのアルゲーロの家は中心街で屋上にキッチンもテラスもあるから、海を見ながらお茶も食事もできてステキ。となりの家のテラスもすぐそばだから、テラス越しに話しもできる。4年前はここでエレナにサルデーニャ料理も習ったし、私の仕事をどうするかということもエレナに話しながら決意したから、語学だけでなく人生の先輩として大事な先生だ。仕事で独立したことを伝えたらとても喜んでくれた。私のイタリア語はエレナをがっかりさせてしまうほどなかなか上達しないけれど、なんとか続けていると伝えて安心してもらえたかな。

 エレナと別れたあと、娘の友達のマリアとそのお母さんに会う。4年前にだんなさんのトーレがコルシカの高級ホテルのレストランで羊のチーズを提供するために腕のいいチーズ職人として呼ばれ、そこで羊の世話をしながらチーズ作りをしていた。単身赴任だったが、クリスマスに私たちも一緒にコルシカを訪ねていたその滞在中に頭痛がひどくなり、のちに脳腫瘍も見つかった。手術や薬での治療をしたけれども、その1年後に亡くなってしまい、私たちも会うたびに泣きながらトーレの話をする。会うと思い出してしまうからつらいかなと思ったけれど、子供たちにとっても私たちにとても大切な友達家族だから、会いたい。会ったら子供たちは大興奮。街探検のあとはランチをして、海も行きたい!というので、日焼けも怖いけれど、仕方なくつきあう。風が強くて寒いのに、ひたすら潜り続ける二人。本当にやることが同じで言葉がいらないみたい。

今回もトーレの話をして泣いて、楽しい話もして、子供たちの楽しんでいる姿に私たちも心から喜んだ。つらい思い出と楽しい思い出がセットになってしまう私たちの存在に、どう思っているか聞いてみたけれど、トーレが亡くなってから誰も彼の話題に触れようとしないからさみしい、もっと話したいと言っていた。私たちは会うたびにずっとトーレの思い出話をするから、いいのかなと思いつつ、やっぱり彼の仕事をする姿を間近で見たからこそ、尊敬の念は忘れない。めちゃくちゃなイタリア語で、精いっぱいの気持ちを伝えた。


エレナの家のテラスから見た海。

エレナのもう一つの家の庭でとれたイチジク。とろける甘さ。

アルゲーロの街の中のレストラン。

エレナが紹介してくれたレストラン。アルゲーロにレストランはたくさんあるけれど、ここと3つくらいしかおいしいところはないわよ、と言ってた。魚介類の料理が本当に新鮮でおいしい。店員さんも感じがよくて楽しかった。

ムール貝から出たスープにパンをつけて、2度おいしい。  白ワインがすすむ。

あさりとボッタルガ(からすみ)のスパゲッティ。娘と取り合いながら食べる。


イカを焼いただけなのに、なんでこんなにやわらかいの?というくらいやわらかくておいしい。臭みがない上、レモン汁とオリーブオイルの香りたっぷり。


海岸まで歩いていく。風が強くて寒いのに、とにかく泳ぐのが大好きな二人。もう帰るよ~と言うとよけいに出てこなくなってしまう。